「タァー」

 木剣を振り上げるとグレイに目掛け振り下ろす。それを難なくグレイは避ける。……悔しい。


 あれから私は何度もグレイに攻撃するも全てかわされていた。それに、掛け声も直され……。

 そう、剣道の癖で『メン』だの『ドウ』だの『コテ』だの言ってたら思いっきり怒られたのだ。


「どうした。まだ一度も、攻撃が当たってないぞ」

「そんなこと言ったって……。グスン、」

 そう言われ私は、悔しさのあまり涙が出てくる。

「おいっ! また泣き出すんじゃねえよな? さっきも言ったと思うが。そんなんだったら、お前に剣術を教えるのは……なしだ」

「グスン……。それだけは嫌。うん、泣かない。だから、もう一回……お願いします」

 気持ちを入れ替え木剣を持ち直しグレイをキッと睨む。

「ふぅ、そうだな。今日はこのぐらいにしよう。それに、お前の実力がどのくらいか分かったし」

 そう言いながらグレイは私の方に近づいてくる。

「……そうですね。ありがとうございました」

 私は、フウっと息を漏らし肩の力を抜いた。

「そういえば、お前いくつだ?」

「は、あ? 今更ですか。十六ですけど……」

「十六か……若いな。うむ、問題ないだろう」

 そう言いグレイは勝手に納得する。私には、その意味が分からない。

「問題ないって……何がっですか?」

「いや、こっちのことだ。まぁ、気にするな」

 なぜかグレイは、ニヤニヤしている。……意味不明だ。んー、まぁいいか。

「んー、そう言うグレイの年齢は?」

 別に知りたいわけじゃない。ただ、なんとなく聞いてみたかっただけだ。

「ああ、そうだった。俺は、二十一だ」

「ホエ~、私より五つ上なんですね」

 思っていたよりも若干、若かった。まぁ、そんなことはどうでもいいんだけど。

 それよりも、ニヤニヤしながら私をみて納得しているグレイの仕草が見た目と反して異様にみえてしまう。

「もっと若くみえたのか?」

 そう聞かれ思いっきり首を横に振る。

「だいたい、そのぐらいかなぁとは思ったけど。もう少し上なのかと思いました」

「そ、そうか。んー、まあいい。それで、いつまでこの城にいる? さっきのカイルディ様の話だと、」

 グレイはそう言いかけた。

「……ルイ様の滞在期間は、七日間です」

 いつの間にかカイルディさんは、私たちの側にいてそう言う。……さっきもそうだけど、気配に気づかなかった。違う意味、怖い。

「七日間か。じゃあ、その期間なら教えられるな」

「はい、よろしくお願いします」

 満面の笑みでそう言い頭を下げた。

「ああ、よろしくな」

「それはそうと。そろそろ、ルイ様の食事の用意ができると思いますので」

「あ、もうそんな時間なんですね」

 私は、ふと空を見上げる。まだ暗くはない。だけど、日が落ちかけていた。

「あ、そうそう。グレイ、このあと私の書斎に来て下さい。話したいことがありますので」

「承知しました」

 なんの話だろうと思った。だけど、恐らく私には関係ない大事な話なんだろうと聞くのをやめる。

 そして私は、カイルディさんとグレイと別れると離れの屋敷に向かった。