「考えていても、仕方ない。このことも踏まえて調べた方がいいな」

 そう言いながらグレイは、私とメーメルを順にみる。

「そうじゃな。ただ、なぜこの町にデビルミストが現れたのじゃ」

「そうだよね。発生源の場所から、かなりの距離みたいだし」

「確かに、おかしい。ルイ、この町に現れたデビルミストのことについては分からないのか?」

 そう言われ私は首を傾げた。

「どうだろう。さっき使った能力じゃ、分からなかった」

「そうか。そうなると……他の方法で、探したの方がいいってことか」

「他の方法かぁ。じゃあ、デビルミストに特定して調べた方がいいのかな?」

 そう言うとグレイは考えながら口を開く。

「……その方がいいか。可能なら徹底的に調べておいた方がいい」

「うん、分かった……やってみるね」

 私は頷き立ち上がる。


 グレイが言うように徹底的に調べておいた方がいい。そうなると、どうしよう。見極めレベル3だけでも大丈夫かな?


 そう思い考えがまとまると右手を目の前に翳した。

 《見極めレベル3!!》

 そのあと……。

「デビルミストの発生場所とその情報を調べて!!」

 そう言い放つと右手が光る。そして右手から無数のビームが放たれ枝分かれして四方八方に飛び交う。その後、壁に吸い込まれるように消えた。

 すると頭の中に情報が入ってくる。

「今度は早い。分かったよ……だけどこれ、どういう事?」

「どうしたんだ? そんなにあり得ないことなのか」

「あり得ないって言えばそうなんだろうけど。でも……どうしよう、こんなことって……」

 私は言っていいのかどうか躊躇(ためら)った。


 これって……本当に可能なの? だとすれば、厄災事態が人為的に起こせるってことになる。
 じゃあ、今までこの世界で起こった厄災って同じように起きたってことになるよね。やっぱり、言った方がいい。


 そう考えがまとまると口を開く。

「デビルミストは人為的に召喚されたみたい」

「今なんて言った? 人為的、って。嘘だろう、そんなあり得ねえ。いや、でも……その能力は間違いなく的確に調べる。そうなると……」

「確かに……そうじゃな。妾も信じられぬ。そう考えると、厄災も人為的に起こせることになるのじゃ」

 そうメーメルが言うと私とグレイは頷いた。

「でも……それならアクロマスグが、発生源なのに何も起きていない理由になる」

「そういえば、そうだね。でもどんな方法で厄災を起こしたんだろう」

「これは憶測じゃが。なんらかの黒魔術か、何者か……異世界の者の能力かもしれぬ」

 それを聞きグレイは難しい顔をする。

「異世界の者の能力はない。そうなると黒魔術あたりが有力か……」

「それが妥当じゃな。でも、それを誰が行ったかじゃ」

「私が厄災の発生源を調べた時、誰かの屋敷がみえた。その時に調べてたら分かったかもしれないけど。さっきデビルミストの方、調べちゃったから消えたし」

 そう言いながら苦笑した。

「まあそれは仕方ない。そうなると、この町を出たらアクロマスグに向かった方がいいだろう」

「その方が良い。そうなると、ムドルはどうするのじゃ?」

「そうだな。とりあえず俺はコルザ様に直接あって、今回の件について理由を聞きたい。ムドルには、コルザ様を屋敷から連れ出してもらおうと思っている」

 そうグレイが言うとメーメルは首を傾げる。

「なぜ屋敷に直接、向かわぬのじゃ」

「今あそこにはユウムがいる。アイツを巻き込みたくない……それだけだ」

「それなら致し方ないのう。また恋文を書くのじゃな?」

 それを聞きグレイは、額に汗をかき嫌そうな顔をした。

 私は恋文ってどういう事だろうと思い、グレイに視線を向ける。

「流石にそれはない。もうあれは嫌だ。だが、どうする?」

「どうせ会うなら、普通に書いてもいいんじゃないのかな」

「それもそうだな。ルイの言う通り、訳を話しここに来てもらった方がいい。それに、その方がコルザ様の本心も分かる」

 そう言うとグレイは、どこか遠くをみていた。