グレイはつらそうな表情になりながらも話してくれている。
「だけど、なんでここで騎士になったの?」
ふと私は気になった。なんで生まれ育った場所を出て、ここに居るのかと。
「騎士になったのは、封印している状態でも真面に戦えるように……強くなるためだ」
そう言いながら遠くをみつめる。
「それに、俺の故郷はもうない。国の名前だけは残ってるみたいだけどな」
「それって、どういう事?」
「厄災のせいだ。……なんで俺だけが生き残った。あの時、何もできなかった俺だけが……」
そう言いグレイは、今にも泣きそうな顔になり一点をみつめていた。
「国が……そうなるとアドバルド帝国ですね。近年、厄災の被害が遭ったのはそこぐらいですし」
「ムドル、そうだ」
「うむ、確か生存者が居ないと聞いておったのじゃ。どういう事なのかのう」
そう聞かれグレイは、更につらそうな表情を浮かべている。
「俺の生まれ育った村はアドバルド帝国の管理下だった。だが、ほぼ知られていないような辺境の地にあったため……」
そう言いグレイは語り始めた。
「……では、気づくのが遅れた。そのため厄災や……。帝都から押し寄せた厄災の影響で感染しておかしくなった者たちにより、村が滅びたという訳ですか」
「ああ、その結末は大体わかるだろう」
「そうじゃな。皆、殺し合い……壊滅という訳か」
メーメルがそう言うとグレイは頷く。
「ですが、なぜグレイは助かったのですか?」
「よく覚えていない。悲惨な光景、以外はな。気づいたらこの国、ここタータム草原に転移していた」
「それでは、無意識に転移の魔法を使ったという事ですか?」
そうムドルさんが聞くとグレイは首を横に振る。
「それはない。あの頃から、既に能力は封印していたからな」
「それじゃ、誰かがグレイを転移させたってこと?」
「そうだとしても、あの状況で誰が……」
そう言いながらグレイは、また遠くに視線を向けた。
「可能な存在、神か……もしくは龍神かもしれぬな」
「神が俺を? その可能性よりは龍神ならあり得るかもな」
「龍神は勇者と聖女に恩があったはずじゃ」
それを聞き私は不思議に思い……。
「ねぇ、もしそうだとして。なんで龍神は、グレイだけ助けたんだろう?」
「そこまでは、流石に分からぬのじゃ。ただ思うに……これは憶測じゃが。全てを救う時間がなかった。そんな時に、グレイから勇者の力を感じ取り転移させたのではと……」
「それなら納得がいく。だが、俺だけが……どうして……この能力のせいだとしても」
これ以上、聞くのがつらいと私は思った。
「そういえば、コルザっていう人との関係って?」
「コルザ様とのことか。タルキニアの町に来てから冒険者ギルドに登録した。そこで何度も依頼で世話になったんだが」
そう言いながらタルキニアの町の方を向く。
「騎士になると決めた時も……あの人は、保証人になってくれた」
「なるほど……。それで、なぜコルザがグレイの素性……秘密を知っているのですか?」
「ある事件で、どうしても転移の魔法を使わなきゃならなかった。それをコルザ様にみられたんだ」
グレイは一呼吸おき再び話し始める。
「だがなぜか、それをみても普通に接してくれた。それに誰にも言わず秘密にするともな」
「んー不思議な人ですね。私も実際に会い感じたこと……そんなに悪い人間にはみえませんでした」
「ああ、だからどうしてこんなことをしたのか不思議なんだ」
私も同じことを思った。話を聞く限りだとそんなに悪い人にみえない。
「そうなると……もう少し調べた方が良さそうですね」
「そうだな。ムドルの方はこのままトゼルを連れて、コルザ様の所に向かってくれ。とりあえず俺はこの男をギルドに連れて行く」
それを聞きムドルさんは、なぜか私の方をみた。
「余り気が進みませんが、致し方ありませんね。そうそうルイさん、グレイには気をつけてください。何を考えているか分かりませんので」
「えっ、ええと……そうだね。気をつけます」
私はそう言いグレイを、チラッとみる。するとグレイは、ムドルさんを睨みみていた。
「ムドル、まるでルイの保護者だな。まぁいい、それでそっちはムドルだけじゃないんだよな」
「ええ、勿論。二人、仲間が……そうそう。今コルザは、その二人がみています」
「そうか……。一人は、ユウムだな」
それを聞いたムドルさんは、口角を上げ笑みを浮かべる。
「グレイが指名したという事ですか。それではユウムの師匠とは……もしや?」
「師匠……アイツはまだそんなこと言ってるのか。俺は何もしてないんだがな」
「そうなのですね。それでは、そろそろ行動に移した方が良さそうです」
そう言いながらムドルさんは、タルキニアの町の方角をみた。
「そうだな。まだ終わっていない」
グレイもタルキニアの町がある方に視線を向ける。
頷き私とメーメルも同じ方向をみた。
そしてその後、今後どう行動するかを再確認する。
「だけど、なんでここで騎士になったの?」
ふと私は気になった。なんで生まれ育った場所を出て、ここに居るのかと。
「騎士になったのは、封印している状態でも真面に戦えるように……強くなるためだ」
そう言いながら遠くをみつめる。
「それに、俺の故郷はもうない。国の名前だけは残ってるみたいだけどな」
「それって、どういう事?」
「厄災のせいだ。……なんで俺だけが生き残った。あの時、何もできなかった俺だけが……」
そう言いグレイは、今にも泣きそうな顔になり一点をみつめていた。
「国が……そうなるとアドバルド帝国ですね。近年、厄災の被害が遭ったのはそこぐらいですし」
「ムドル、そうだ」
「うむ、確か生存者が居ないと聞いておったのじゃ。どういう事なのかのう」
そう聞かれグレイは、更につらそうな表情を浮かべている。
「俺の生まれ育った村はアドバルド帝国の管理下だった。だが、ほぼ知られていないような辺境の地にあったため……」
そう言いグレイは語り始めた。
「……では、気づくのが遅れた。そのため厄災や……。帝都から押し寄せた厄災の影響で感染しておかしくなった者たちにより、村が滅びたという訳ですか」
「ああ、その結末は大体わかるだろう」
「そうじゃな。皆、殺し合い……壊滅という訳か」
メーメルがそう言うとグレイは頷く。
「ですが、なぜグレイは助かったのですか?」
「よく覚えていない。悲惨な光景、以外はな。気づいたらこの国、ここタータム草原に転移していた」
「それでは、無意識に転移の魔法を使ったという事ですか?」
そうムドルさんが聞くとグレイは首を横に振る。
「それはない。あの頃から、既に能力は封印していたからな」
「それじゃ、誰かがグレイを転移させたってこと?」
「そうだとしても、あの状況で誰が……」
そう言いながらグレイは、また遠くに視線を向けた。
「可能な存在、神か……もしくは龍神かもしれぬな」
「神が俺を? その可能性よりは龍神ならあり得るかもな」
「龍神は勇者と聖女に恩があったはずじゃ」
それを聞き私は不思議に思い……。
「ねぇ、もしそうだとして。なんで龍神は、グレイだけ助けたんだろう?」
「そこまでは、流石に分からぬのじゃ。ただ思うに……これは憶測じゃが。全てを救う時間がなかった。そんな時に、グレイから勇者の力を感じ取り転移させたのではと……」
「それなら納得がいく。だが、俺だけが……どうして……この能力のせいだとしても」
これ以上、聞くのがつらいと私は思った。
「そういえば、コルザっていう人との関係って?」
「コルザ様とのことか。タルキニアの町に来てから冒険者ギルドに登録した。そこで何度も依頼で世話になったんだが」
そう言いながらタルキニアの町の方を向く。
「騎士になると決めた時も……あの人は、保証人になってくれた」
「なるほど……。それで、なぜコルザがグレイの素性……秘密を知っているのですか?」
「ある事件で、どうしても転移の魔法を使わなきゃならなかった。それをコルザ様にみられたんだ」
グレイは一呼吸おき再び話し始める。
「だがなぜか、それをみても普通に接してくれた。それに誰にも言わず秘密にするともな」
「んー不思議な人ですね。私も実際に会い感じたこと……そんなに悪い人間にはみえませんでした」
「ああ、だからどうしてこんなことをしたのか不思議なんだ」
私も同じことを思った。話を聞く限りだとそんなに悪い人にみえない。
「そうなると……もう少し調べた方が良さそうですね」
「そうだな。ムドルの方はこのままトゼルを連れて、コルザ様の所に向かってくれ。とりあえず俺はこの男をギルドに連れて行く」
それを聞きムドルさんは、なぜか私の方をみた。
「余り気が進みませんが、致し方ありませんね。そうそうルイさん、グレイには気をつけてください。何を考えているか分かりませんので」
「えっ、ええと……そうだね。気をつけます」
私はそう言いグレイを、チラッとみる。するとグレイは、ムドルさんを睨みみていた。
「ムドル、まるでルイの保護者だな。まぁいい、それでそっちはムドルだけじゃないんだよな」
「ええ、勿論。二人、仲間が……そうそう。今コルザは、その二人がみています」
「そうか……。一人は、ユウムだな」
それを聞いたムドルさんは、口角を上げ笑みを浮かべる。
「グレイが指名したという事ですか。それではユウムの師匠とは……もしや?」
「師匠……アイツはまだそんなこと言ってるのか。俺は何もしてないんだがな」
「そうなのですね。それでは、そろそろ行動に移した方が良さそうです」
そう言いながらムドルさんは、タルキニアの町の方角をみた。
「そうだな。まだ終わっていない」
グレイもタルキニアの町がある方に視線を向ける。
頷き私とメーメルも同じ方向をみた。
そしてその後、今後どう行動するかを再確認する。