ここはタータム草原。私はメーメルと色んな場所に転移し続けていた。

「メーメル、ここにも居ないね」

 そう言いブローチをみる。

「そのようじゃな。まだ探すのかのう」

 メーメルは疲れた表情で私をみた。

「ごめんね。だけど、もう少しだけ……お願い」

「仕方ないのう。じゃあ、あと一回だけじゃ」

「うん、ありがとうメーメル」

 それを聞きメーメルは、ニコリと笑う。

 その後メーメルは、転移の魔法を使う。そして私とメーメルは、別の場所へと転移する。



 ――場所は移り、グレイフェズとムドルが居るタータム草原――


 グレイフェズとムドルは、互いに警戒していた。

 お互いに背を向け探り合っている。

 グレイフェズは自分の姿と素性がバレるのが嫌だった。片やムドルは、かつて感じたことのないプレッシャーに襲われ対処法を模索している。

 そんな中、二人はふと思った。

 そうこのままでは、デビルミストの犠牲者が増えると……。

 恐る恐るグレイフェズは、ムドルに声をかける。

「ムドル、薄々気づいてるんじゃないのか?」

 そう言われムドルは振り返りグレイフェズの方を向いた。

「その声は……グレイ。やはりこの匂いは、そうだったのですね。ですが、これはどういう事ですか? 普通の人間とは思えない」

 そう問われグレイフェズは、ムドルに背中を向けたまま口を開く。

「詳しく話せば長くなる。それに、今は余裕がない」

「確かに……。今は、デビルミストをどうにかしなければなりません。では、このこと……あとで理由を聞かせてもらいますよ」

「分かった。それと、このままの姿だと持っている剣が使えない。だから、また封印する」

 ムドルはそれを聞き不思議に思い首を傾げる。

「どうしてかは、分かりませんが。あとで、そのことも踏まえて教えて頂きます」

 そう言われグレイフェズは頷いた。

 グレイフェズはこの場で今の姿を封印することにする。

 その後、左の小指に嵌めている指輪に右手を添えた。

 《古の鎖 現と古 仮初の姿 此処ある内なる力 我、願う 真の姿を封印されたし!!》

 そう詠唱すると両手を頭上に掲げる。

 すると指輪がキランッと光った。と同時に、指輪から眩い光が真上に放たれ魔法陣が展開していく。

 その魔法陣が展開し終えるとグレイフェズの真下に、スッと降下する。そして、徐々にグレイフェズの姿が変化していった。

 その後グレイフェズの姿は、以前の白銀の髪へと変化している。それだけではなく、体から放たれていた途轍もない威圧感も消えていた。

「これでいい。あとは……」

 そう言いながらグレイフェズはムドルの方を向く。と、その時……。

「グレイ、これってどうなってるの?」

 そう言いながら泪は、グレイフェズとムドルの方へ歩み寄る。そして、メーメルがそのあとを追う。

 それを聞きグレイフェズとムドルは、恐る恐る声がした方に視線を向ける。と同時に、顔を引きつらせた。