ここは商店街にある宿屋。そして商人の泊まる部屋である。
私とメーメルは、依頼人に娘さんを引き渡した。その後その部屋のテーブルを挟み私とメーメルは、依頼人の真向かいのソファーに座っている。
そして事情を話すと私とメーメルは、部屋をあとにし宿屋から商店街に出た。
「これで、依頼の方は大丈夫だね。あとは、グレイの居場所を探すだけ……」
私はそう言いながら辺りをキョロキョロする。
「うむ、でもどこに居るか分からぬ。ただ草原と書いてあるだけじゃ」
「そうだね。だけど……」
そう思い遠くをみつめた。
「……転移すれば可能じゃ。しかし、闇雲に探してものう」
「転移、できるの?」
「できる。できるのじゃが……」
メーメルは明らかに嫌な顔をしている。
「できるなら……ここに居るより」
「そうなのじゃが……本来の姿にならないと駄目なのじゃ」
「それって、魔族の姿?」
そう問うとメーメルは、コクリと頷き私を見据えた。
「ここで魔族になる訳にもいかぬ」
「そうだね。でも、どこか目立たない所なら大丈夫なんじゃ?」
「そうじゃな。でも、間に合うかじゃ」
そう言われ私は、確かに闇雲に転移しながら探したとしても間に合わないと思う。
「だけど……それでも……」
そう思うも諦めきれない。
「うーむ。仕方ない、やってみるかのう」
メーメルは観念しそう言うと、ニヤリと笑みを浮かべる。
「メーメル、ありがとう」
感謝しそう言い私は頭を下げた。
その後、私とメーメルはこの場から離れる。
グレイ、大丈夫だよね? 私が行って何ができるか分からない。だけど……傍に居たいの。
こんな気持ちになったのは初めて。これって、なんなんだろう。凄く胸が苦しいよ。
私はそう思いながら、メーメルと駆けずり回り目立たない場所を探し歩いた。
――場所は変わり、バールドア城の地下にある用水路――
清美とサクリスは、慎重に先へ先へと進む。
曲がり角の壁に寄りかかりながらサクリスは、警備が居ないかを確認する。
「今なら大丈夫、行こう」
そう言われ清美は、サクリスの後ろで「うん」と小声で言った。
その後、二人は周囲を警戒しながら左に曲がり更に先へと進み歩く。
サクリスは曲がり角がある場所で静止する。
誰も居ないことをサクリスは確認した。その後、清美に「こい」と促す。そして曲がらずに、目の前の橋を渡り先に進む。
(ここまで、なんとかみつからずにこれたけど……大丈夫かな。本当に……泪の所に、無事に辿り着けるの?
ううん、今はそんなことを考えている場合じゃない。辿り着けるのじゃなくて、辿り着かないとね)
そう思いながら清美は、サクリスのあとを追った。
私とメーメルは、依頼人に娘さんを引き渡した。その後その部屋のテーブルを挟み私とメーメルは、依頼人の真向かいのソファーに座っている。
そして事情を話すと私とメーメルは、部屋をあとにし宿屋から商店街に出た。
「これで、依頼の方は大丈夫だね。あとは、グレイの居場所を探すだけ……」
私はそう言いながら辺りをキョロキョロする。
「うむ、でもどこに居るか分からぬ。ただ草原と書いてあるだけじゃ」
「そうだね。だけど……」
そう思い遠くをみつめた。
「……転移すれば可能じゃ。しかし、闇雲に探してものう」
「転移、できるの?」
「できる。できるのじゃが……」
メーメルは明らかに嫌な顔をしている。
「できるなら……ここに居るより」
「そうなのじゃが……本来の姿にならないと駄目なのじゃ」
「それって、魔族の姿?」
そう問うとメーメルは、コクリと頷き私を見据えた。
「ここで魔族になる訳にもいかぬ」
「そうだね。でも、どこか目立たない所なら大丈夫なんじゃ?」
「そうじゃな。でも、間に合うかじゃ」
そう言われ私は、確かに闇雲に転移しながら探したとしても間に合わないと思う。
「だけど……それでも……」
そう思うも諦めきれない。
「うーむ。仕方ない、やってみるかのう」
メーメルは観念しそう言うと、ニヤリと笑みを浮かべる。
「メーメル、ありがとう」
感謝しそう言い私は頭を下げた。
その後、私とメーメルはこの場から離れる。
グレイ、大丈夫だよね? 私が行って何ができるか分からない。だけど……傍に居たいの。
こんな気持ちになったのは初めて。これって、なんなんだろう。凄く胸が苦しいよ。
私はそう思いながら、メーメルと駆けずり回り目立たない場所を探し歩いた。
――場所は変わり、バールドア城の地下にある用水路――
清美とサクリスは、慎重に先へ先へと進む。
曲がり角の壁に寄りかかりながらサクリスは、警備が居ないかを確認する。
「今なら大丈夫、行こう」
そう言われ清美は、サクリスの後ろで「うん」と小声で言った。
その後、二人は周囲を警戒しながら左に曲がり更に先へと進み歩く。
サクリスは曲がり角がある場所で静止する。
誰も居ないことをサクリスは確認した。その後、清美に「こい」と促す。そして曲がらずに、目の前の橋を渡り先に進む。
(ここまで、なんとかみつからずにこれたけど……大丈夫かな。本当に……泪の所に、無事に辿り着けるの?
ううん、今はそんなことを考えている場合じゃない。辿り着けるのじゃなくて、辿り着かないとね)
そう思いながら清美は、サクリスのあとを追った。