グレイフェズは辺りを見回した。

(ルイの近くにいるヤツの他に壁際に四人か……。恐らく、アイツがリーダーだろうな)

 そう思いリーダー風の男をキッと睨みみる。

 リーダー風の男は、泪をみていたが立ち上がった。

 それを確認するとグレイフェズは、リーダー風の男の方へ駆け出す。

 メーメルは荷箱の物陰からそれを視認すると、即座に泪と商人の娘の方に飛んだ。そして、クルッと回転し泪の前に着地する。

 それをみた泪は、やっと来てくれたとホッと胸を撫で下ろした。

 それに気づいたリーダー風の男は、グレイフェズをみたあと泪の方をみる。だが、そこにはメーメルが居て何もできない。

「クソッ、てめえら何者だ!?」

 リーダー風の男が、そう叫んだ。

 壁の方に居た男たちは気づき、一斉にグレイフェズへと向かってくる。

「メーメル、二人を連れて逃げてくれ。こっちは、俺が片づけるっ!」

 それを聞きメーメルは、コクリと無言のまま頷いた。

「フン、随分と余裕じゃねえか」

 そう言うとリーダー風の男はメーメルに手をかけようとする。

 メーメルはそれに気づき、瞬時に鋭い牙を生やしリーダー風の男の右手に噛みついた。

「いでぇぇぇぇ――!!!?」

 噛みつかれたところからは、血がポタリポタリと落ちる。リーダー風の男は、噛みつかれた右手を左手で押さえながらメーメルの方を向く。

「おい、どっちをみてる! 相手は俺だ」

 グレイフェズはそう言いながらリーダー風の男の腹を蹴り上げた。

「グハッ……」

 攻撃する間もなくリーダー風の男は、宙を舞い壁まで飛ばされる。そして、壁に激突した。

「メーメル、今だ!」

「分かったのじゃ!」

 そうグレイフェズに言われメーメルは、泪と商人の娘の拘束を急いで解く。

 それを確認しグレイフェズは、向かってくる男たちの方に駆け出した。



 ――視点が切り替わり……――


 私はメーメルに拘束を解いてもらう。そして、男たちに向かって行くグレイをウットリしながらみた。

「ルイ、何をのんびりとみておる。早く、ここから逃げるのじゃ」

「でも、グレイが一人になっちゃうよ」

「グレイなら大丈夫じゃ。それよりも、ここに居たら却って邪魔になると思うのじゃが」

 それを聞き私は納得する。だけど、やっぱりグレイのことが心配だ。


 大丈夫かな? 本当に……。


 そう思いグレイの方に視線を送る。


 そうだね、グレイは強いし……心配ないよ。


 そう考えがまとまるとメーメルの方を向いた。

「行こう!」

 それを聞きメーメルは頷く。その後、商人の娘さんに簡単に説明する。

 そして私たち三人は、この場から離れ古びた倉庫から脱出したのだった。