ここはタルキニアの町の商店街。私はグレイとメーメルとムドルさんと一緒に、ギルドへ向かい歩いていた。


 あれから四人で色々と話し合う。その後、ひとまずドルバドスさんに話した方がいいだろうという事になった。

 そう私に起きたこと、メーメルに起きたこともだけど。もしかしたらドルバドスさんは、それらについて何か知っているかもしれないという事だ。

 だけど、誰が行くかで揉めた。それなら私は、メーメルと一緒に行くと言う。

 でもグレイは、不安な面持ちになり……。

『いや、俺が行く方がいいだろう』

『そうだけど、私が行かないとその時の状況を話せないよ』

『うむ、妾のことはマスターに話しておる。ただ、なぜあのようなことが起きているのか気になるのじゃ。そのことも含め、色々と聞きたいと思う』

 それを聞き、グレイは『んー』と悩んでいるみたいだ。

『それなら、こうされては……。私も、そのドルバドスさんに会いお礼を言いたい。ですので、四人でギルドに向かうというのはどうでしょう』

『……そうだな。確かにその方がいいかもしれない』

 そう言うも明らかにグレイのムドルさんへの返事が、心がこもっていないようにみえた。

 ムドルさんは、そんなグレイの態度に気づかないのかニコニコしている。

 だけどもし気づいてるとしたら、どんだけ心が広い人なんだろうと思った。


 現在、私はメーメルと話しながら歩いている。グレイとムドルさんは、私たちの前を歩き何か話しているようだ。


 何を話してるんだろう。気になるなぁ。


「……ルイ。先程から上の空のようじゃが、どうしたのかのう?」

「あ、ごめん。えっと……色々ね。そうだ、メーメルとムドルさんてどういう関係なの?」

「うむ、執事と主人の関係じゃが」

 そう言いメーメルは、不思議そうに首を傾げる。

「んー、それだけ? みてると、それだけの関係にみえないんだよね」

「そういう事か。そうじゃな、妾はムドルが好きじゃ。でも、ムドルはそう思っておらぬと思う」

「そうかなぁ。私からみると、ムドルさんはメーメルのこと凄く大事に思ってるように感じるよ」

 私がそう言うとメーメルは、俯き深い溜息をついた。

「うむ、以前ムドルに好きだと告白した。だけど、断られたのじゃ……」

「えぇー、断られた……って。でも、なんで?」

「ふぅ、ムドルは妾のことを主人としか思えないと……ハッキリ言われたのじゃ。ムドルは、真面目じゃからのう」

 それを聞き私は、そういう事かと思う。


 間違いなくムドルさんは、メーメルのことを好きだと思う。でも、身分の差を気にしてそう言ったのかもしれない。


「それは、そうと……。ルイこそ、グレイとはどんな関係なのじゃ?」

「え、えっと……そうそう。グレイは師匠、だよ。それだけの関係で、それ以上でもない。それに、グレイも同じだと思うしね」

「ふむ、そうなのかのう……そうはみえぬが。まあ、そういう事にしておいた方が良さそうじゃな」

 そう言われ私は、気になりグレイの方をみた。すると、グレイが振り返り目が合う。ドキッとし慌てて目線を逸らす。


 ま、まさか……ね。ううん、グレイが私のことを好きだなんてあるわけないよ。……でも、どうなんだろう。実際に、聞いた訳じゃない。


 そう思いながら私は、再びグレイの方をみた。