「あー、ひ〜まぁ……」

 この部屋には、何もない。あるとすればベッドとテーブル、椅子ぐらいだ。

 ベッドに腰かけていたが、落ち着かず立ち上がる。そして、窓際に向かい歩き出した。


 あれから私は、城と隣接した敷地内にある古ぼけ小ぢんまりとした屋敷に案内される。

 従者さんの話だと、ここは使用人のための屋敷らしい。だけど、今は誰も利用してないって言ってた。


「外に出ないで、かぁ。今頃、清美はどうしてるかなぁ」

 窓の外をみながら、色々と考えてみる。


 これからどうしよう。もしこの城に居られない、ってなったら……。


 そう思いながら、ハァーと溜息をついた。

「すぐに結果、でないかなぁ〜」

 私はテーブルの方へ向かう。

 テーブルまでくると椅子に腰掛け、うつ伏せになる。

「まぁ、なるようにしかならないとは思うけど……」

 そう思いながら顔を上げた。

 そしてしばらく私は、色々と考えながら話し合いの結果を待つ……。



 ――場所は移り、ここは聖女のために用意された部屋――


 清美は椅子に腰かけ、テーブルに置かれたティーカップを持ちながら思考を巡らせていた。

「泪、今頃どうしてるかなぁ。だけど、私が聖女。聖女自体は、歴史で習って大体なら分かる。でも、この世界の聖女って……多分、違うよね」

 そう考えながら、ティーカップに口を付け飲んだ。

「ん~、美味しい! これハーブティーかな? カモミールティーみたいな味がする」

 清美はティーカップをテーブルに置く。その後、またあれやこれやと考えるのだった。



 ――場所は、執務室へと移る――


 あれからカイルディは、聖女を召喚したことを大臣のクベイルに報告した。その後、ここに呼び出される。

 そして聖女である清美と、巻き込んで召喚してしまった泪のことを国王カルゼア・C・クウレムに伝えた。

 それを聞きカルゼアは、椅子に腰かけ銀髪の長い髪をかき上げると深く溜息をつく。

 王と言っても、まだ二十代前半ぐらいなので若い。

「ウム。聖女は、無事に召喚した。……だが余計な者までもとはな、厄介だ。それで、どうするつもりだ?」

「陛下、仰る通りでございます。今の財政では、聖女さま以外の者を我が国で養うなど無理、」

 大臣のクベイルはそう言い、カルゼアとカイルディを交互にみた。

「そうなると、ルイ様の処遇はどうされますか?」

「カイルディ。そうだな……ただ追い出すわけにもいかぬ、が」

 カルゼアは険しい表情で、右の肘掛を小刻みに指でトントンと叩く。

「……。では、こうされたらどうでしょう。そのルイ様の処遇ですが、」

 クベイルは泪の処遇を、どうした方がいいか説明し始める。

「ホウ。確かに、その方がいい」

 そう言いカルゼアは、ニヤリと笑みを浮かべた。

「では、そのようにルイ様に伝えたいと思います」

 カイルディは一礼をすると、この場から離れ泪のいる離れの屋敷に向かう。

 それを確認したカルゼアとクベイルは、再び話を始めたのだった。