ここサイアル城内のパーティー会場である大広間では少しずつ人が減って来ていた。そう既にパーティーが終わり残っている者たちは関係者だけである。

 司と美咲は未だにクナテナと話をしていた。何年も逢っていなかったためなのだろう、どれだけ話をしても足りないようだ。

 「まだ話をしていたい。だが、そろそろ……お開きにしないとな」

 「そうだね。でも、これからはクナテナと何時でも逢える」

 「ええ……そうなります。ユリナーシャ様次第ではありますが」

 ニコッと笑みを浮かべクナテナはユリナーシャが居たであろう場所へ視線を向ける。

 だが既にユリナーシャとガルディスの姿は、そこになかった。

 「……二人で別の場所に向かったようですね」

 「ああ……なんだかんだ言ってもガルディスはユリナーシャのことを嫌いになれないんだろうな」

 「まあ……男女の関係って、どうなるのか本当に分からない。まさか……こうやって司と結婚するなんて以前の私なら、あり得ないって言ってたと思うし」

 意地悪気味に言い美咲は司へ視線を向ける。

 「ハハハ……確かにな。俺も未だに不安になる……これって夢なんじゃないのかって」

 「そうだね……私も同じだよ」

 それを聞き司は美咲をみた。そして二人は見つめ合い……。

 それをみたクナテナはみていられないと思い、ソーっと別の場所へ移動する。

 その場にクナテナが居なくなったことも気づかず美咲と司は、そのまま抱き合い――……。


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 ここは籠の中に入れられている泪が居る控室。テーブルに置かれた籠の中で泪は真っ赤に顔を染めていた。

 (アワワワワ……いや……えっと……恥ずかしいから、それ以上みせないでいいです)

 そう思い翼で顔を隠すも脳裏に映像が流れて来ているため意味がない。

 (他のこと……考えよう。そうそうラギルノさんは結局二人の女の人から逃げるように自分の部屋へ向かった。
 そのことに気づいて二人の女の人は追いかけたんだよね。そのあとの映像が流れてこないから、どうなったのか分からないんだよなぁ)

 “知りたいのですか? 一人の男性を取り合う女性二人の壮絶なバトルをみたいのであれば映像を流しますよ”

 (……いえ、ごめんなさい……いいです。それはそうと……このあと司さんと美咲さん、どうなるんですか?)

 急に脳裏に流れてくる映像が途切れ泪は、どうなるのかと気になった。

 “フフッ……恥ずかしくて二人の映像をみたくないと言っていましたが、そんなに気になりますか?”

 (あー……いえ、そっちじゃなくて(汗)……)

 “そっちではない……その後の行為でしょうか?”

 そう言われ泪は顔を赤くし体中から湯気がでる。

 (え、えっと……違います(泣き)……。司さんと美咲さんが、この城で……どんな一生を送るのかと)

 “そういう事ですか……司と美咲は男二人に女三人の子供に恵まれます。そして幸せな日々の中で何時しか元の世界に帰ることを忘れ生涯をこの地で閉じる”

 (そうなんですね……帰れなかったけど幸せになれた。良かった……これで帰れず一生うらんでいたら救われない)

 一滴の涙が泪の頬を伝い流れ落ちた。

 そう話をしていると扉が開きセフィルディが部屋の中に入ってくる。

 「なんでしょう? この部屋に入った途端……神秘的な感覚が体を伝っていきました」

 泪の籠のそばまでくるとセフィルディは更に不思議な感覚に襲われた。

 「感じたことのない……この世のものとは違う何かが居るのでしょうか?」

 周囲を見回すもセフィルディは視認することができない。

 「感じるのですが……みえませんね。いったい、なんなのでしょう?」

 不思議に思いセフィルディは悩みながら泪の籠をみた。