執務室での話し合いのあと司と美咲は一旦、自分たちの屋敷に戻ってきた。

 そして現在二人は居間で話をしている。

 テーブルの上にはクッキーとハーブティーの入ったティーカップが二人分置かれていた。勿論、泪の籠もテーブルに置かれている。

 「まさか、こんな展開になるとは思わなかった」

 「そうだね。これで帰る方法みつけるの難しくなっちゃった」

 「ああ……そもそも俺たちが、この世界に迷い込んだのは宏輝のせいだ」

 ムッとし司は無作為に一点をみて睨んだ。

 「でも、それって……あくまでもバウギロスの憶測でしかないから実際は分からないんだよね」

 「そうだとしてもだ……そうとしか思えない」

 「その憶測だって無理があるよ。只単に私たちよりも宏輝が先に、この世界へ来てたのかもだし」

 美咲が宏輝の味方をする発言をしたため司は更に機嫌を悪くする。

 「あーそうだった。美咲は宏輝のことが好きだったよな。俺は未だに、()()()幼馴染で寂しさを紛らわすだけの存在でしかない」

 何時もならこんなことを言わない司なのだが、ここのところ色々あったため精神的にまいっていた。

 「司? まだ根に持ってたのかぁ。そこまでネクラだとは思わなかったわ。あーそういえば、ストーカーまがいのことしてたからネクラとかわりないね」

 「悪かったな……だけど美咲のことを諦めきれなかったんだ。それに宏輝の本性を知ってたから心配だった」

 「ありがとう……諦めないでいてくれて。そうじゃなかったら私は宏輝の本性を知って、どうなっていたか分からないから」

 思い出してしまい美咲は苦痛の表情を浮かべる。

 「美咲……悪い。こんなこと言うつもりなんかなかったんだ」

 「ううん……仕方ないよ。ここんとこ司は頑張ってたもの。それに今日のことで、かなり精神にダメージくらったと思うしね」

 「セフィルディさんは多分、俺の性格を知ってたから……この計画を立てたんだと思う」

 「そうだね。司は頼まれると断れないもん」

 そう言われ司は苦笑した。

 その後、司は疲れたため夕食ができるまで仮眠することにし寝室へ向かい部屋をでる。

 美咲はそれを視認すると泪の籠を持ち夕食を作るためキッチンへと向かった。――……


 ……――翌日、司さんと美咲さんは町外れの屋敷から城へ引っ越しを始める。だけど三日もかかった。
 原因は手伝っていたガルディスさんとラギルノさんの何時もの喧嘩だ。それを私は籠の中から呆れてみている。

 そして引っ越しが完了した日、改めて執務室に司さん達五人は集まった。
 ドルムスさんが居ないと思ってたけど、セフィルディさんの話を聞き納得する。そうドルムスさんは用がないから村に戻ったらしい。
 執務室では色々な決めごとや即位式の日取りなどを決めている。相変わらずガルディスさんとラギルノさんは喧嘩してた。因みに即位式は五日後に決まる。
 それらの話が終えると解散して各自の部屋に向かっていった。
 私は何時も通り美咲さんに籠を持ってもらい二人の部屋に向かっている。
 そして司さんと美咲さんは部屋で何時も通り……まあ言わないでおくね(汗)。
 それから色々あり――……


 ……――五日後になり即位式の日がきた。