「……そうだな。そうするしかないか……そもそも未来が、どうなるか分からない」

 何か他に方法はないかと言葉を探すも司は何もみつからず苦痛の表情を浮かべた。

 「それでは、お互いに条件をのみ……ツカサ様の王となることが決まりました。あとは大臣を誰にするかです」

 ニヤリと不敵な笑みを浮かべるとセフィルディは目を細め司を見据える。

 「これは私が決めることではありません。ツカサ様、貴方が指名してください」

 「俺が……その前にセフィルディさんは残るのか?」

 「はい、勿論です。私は城に仕える神官ですので……死ぬまで居座りますよ」

 意地悪気味に言ったあとセフィルディは悲しい表情になり横目でドルムスをみた。

 「なんかされそうで怖い言い方だな」

 「いえ、何も致しませんよ。只、国に害があると思ったら進言させて頂きますが」

 「ああ、それは助かる……俺だって何時まちがいを犯すか分からない」

 それを聞きセフィルディは頷き微笑んだ。

 「それで誰を大臣にするのですか?」

 「……忘れてないのかよ」

 「クスッ……大事なことを忘れる訳がありません」

 ガクッと肩を落とし司は仕方ないと諦めて考え始める。

 (大臣か……って、ここにはガルディスかラギルノしかいない。どっちかを選べって? 二人共に苦手なのにか? 一緒にやっていく自信なんてないぞ)

 誰にするか悩み司は思考を巡らせながらガルディスとラギルノを交互にみた。

 (ツカサ! 絶対に指名するなよ)

 指名するな、するなとガルディスは訴えかける目で司をみる。

 (お前に使われるのはごめんだ。ツカサ……お前だって嫌なはず。だから絶対に選ぶなよ。もし選んだら、この城を破壊してやるからな)

 キッと司を睨みラギルノは選ぶなと目で訴えかけていた。

 「ここに居る者だとラギルノとガルディスしかいない。他の者じゃ駄目なのか?」

 「できれば私の知る者の方が良いのです。ですが、あてはあるのですか?」

 「いやない……いや、あったとしても呼び寄せるには遠い。それに特殊な種族だから、あの大陸を離れられないと思うから無理だ」

 昔のことを思い出し司は遥か遠くにあるカリスワイブ大陸のことを脳裏に浮かべた。

 「それでは尚更むづかしいでしょう。そうなると、やはり二人から選んで頂けないでしょうか?」

 「二人……どっちも選べない。両方じゃ駄目なのか?」

 「なるほど……それは面白いですね。別に大臣が二人いたとしても問題はないでしょう」

 その発言を聞きガルディスとラギルノは異議を述べる。

 「待ってください。もともと私は、ドルムス様の下で働かせて頂く約束でした」

 「オレは、この件だけのつもりで仕事をしただけだ」

 「ガルディスに……ラギルノ、待ってください。そうだとしても、この国の王になる者はツカサ様なのです」

 それを聞きガルディスは俯き頭を抱える。

 「そうだとしてもオレは、ツカサに仕える気なんかない!」

 「やっぱりラギルノ、お前ならそう言うと思った。まあ、どっちでもいい。だけどガルディス一人じゃ大臣は無理だ。ラギルノ、お前だけでも無理だろうな」

 「ツカサ、何が言いたい? 二人じゃないと無理……いやガルディスが居なくても俺一人で十分だ」

 怪訝に思いラギルノは首を傾げた。

 「俺が嫌なんだよ。何時いのちを狙われるか分からないからな」

 「そういう事か。それならオレなんて必要ないんじゃないのか?」

 「さっきも言ったがガルディス一人じゃ役不足だ。国務のことをいきなり任せられないだろ。だがラギルノは帝国の雑務ぐらいやってたよな?」

 挑発するように言い司は、ラギルノを凝視する。

 「雑務? フンッ、馬鹿にしてるのか! これでも上層部にいた身だ。ガルディスなど必要ない!」

 「それを云うなら小国とはいえ私も四天王の一人として国務を手伝っていた。ラギルノなどに手伝ってもらうまでもなく、そのぐらい一人でもできる!」

 「ほう……じゃあ、二人共やってくれるんだな?」

 ニヤリ笑みを浮かべ司は二人を順にみた。

 それを聞きラギルノとガルディスは、やられたと思い悔しがる。

 「クソッ……ツカサ、ハメたな?」

 「やられた……これでは、やると認めたも同然だ」

 「そういう事だ。オレも誰かにハメられたけどな」

 そう言い司は、ムスッとしセフィルディへ視線を向ける。するとセフィルディが嬉しそうに微笑んでいたので全部、仕組まれたことだと悟った。

 「では決まったようですね。あとは後程、話を致しましょうか」

 「ああ……そうだな。それに疲れた……」

 何も言う気力が失せ司は体の力が抜ける。

 (二人の大臣か……どうなるのかな? 先が気になる……って、そもそも私って何時になったら元の時間に戻れるんだろう?)

 そう思い泪は、グレイフェズやみんなのことを思い出していた。

 話を終え司たちは後日また会議を開くことにする。

 そのため解散し六人は執務室をあとにし各自の住まいに戻っていった。