あれから美咲と司は城から自分たちの屋敷に帰ってくるなり翌日のために準備をして終えると居間で寛いだ。


 そして二人は現在、椅子に座りテーブルに置いてあるお茶を飲みながら話をしている。

 テーブルの上にはお茶とお菓子の他に腹をすかせている泪が居て籠の中から美咲と司をみていた。

 「フゥ~……終わったな」

 「そうだね。一時はどうなるのかと思ったけど、なんとか成功して良かった」

 「ああ……どこで提案するか、タイミングを計るのが大変だったけどな」

 真剣な顔で司は無作為にテーブルの一点をみつめる。

 「うん、でも思ったよりも簡単に進んだ」

 「そうだな。あとは時期を待つだけ……あっ! セフィルディさんに連絡をしないと」

 連絡を忘れていたようで司は慌ててペンと便箋を創造して具現化するとテーブルにおいた。

 ペンを持つと司は便箋に書き込み始める。

 (もしかして魔法のペンと便箋? なんとなく似てる。魔法陣も便箋に描かれてるし)

 そう思いながら泪は司の手元をみていた。

 しばらくして司は書き上げるとセフィルディの名前を記載し魔法陣に触れる。すると魔法陣が浮かび上がり展開された。その後、便箋は魔法陣と共に消える。

 「これでいい。あとは連絡を待つだけだ」

 「そうだね。あーそういえば、ルイに餌あげてなかった! 急いで棚から豆クッキー取ってくる」

 立ち上がり美咲は扉の方を向いた。

 「俺はベッドで少し横になる」

 そう言い司は立ち上がる。

 それを聞き美咲は司の方を向いた。

 「うん、じゃあ夕食ができたら起こすね」

 「ああ、楽しみにしてる」

 優しい笑みを浮かべ司は美咲よりも早く部屋をでる。

 それを追うように美咲は部屋を出てキッチンへ向かった。

 その様子をみて泪は羨ましくなりグレイフェズのことを思い脳裏に浮かべる。

 (もしグレイと結婚できたら……私が食事を作ってあげないといけないんだよね。んー美咲さんのように作れるのかな?
 そういえばグレイって意外と料理が上手なんだよなぁ。ムドルさんも……まあ長く生きてて執事の仕事もしているせいかもしれないけどね。
 でもグレイは……誰から料理を教わったのかな? あとで聞いてみよう。それに料理も教わらないと)

 恐らく泪は教わっても作らないと思われる。いやグレイフェズが甘やかす未来しかみえない。ムドルも同様である(汗)

 (その前に結婚できるの? ううん、それに……グレイの気持ちも分からない。もし私からグレイに告白したらどうなるのかな。
 もし告白して今の関係が気まずくなったらどうしよう。その時はムドルさん? 違う。そんな都合のいいようにムドルさんを利用しちゃ駄目だよ。
 そういえば、ちゃんと返事してなかった。ハッキリさせないと……でも、どうしよう……)

 美咲がくるまでの間、泪は百面相しながら思考を巡らせていたのだった。