時は過ぎ……――三週間後。


 あれから司は何度かバイゼグフの依頼を受け色々な物を創った。

 それら全てバイゼグフとベンデアは絶賛し喜んだ。司を城に招き入れたいと云う気持ちが回数を重ねるごとに増してくる。

 既に我慢の限界に達していたバイゼグフは司を城に呼びつけた。


 そして現在ここサイアル城の地下にある特別につくられた部屋ではバイゼグフがベンデアと共に司と話をしている。

 勿論ここには美咲と籠の中に入っている泪もいた。

 「ツカサ、どうか頼む……この城の中で創ってくれぬか?」

 「前にも言いましたが、それはできません」

 「やはり無理か。だが惜しい……位を与えるがどうだ?」

 一瞬だけ考えるも司は首を横に振る。

 「バイゼグフ様に、それを行える権利があるのですか?」

 「そ、それは……まだ無理だ。しかし正式に王になれば可能になる」

 「それは何時になるのでしょう? そういえば第一王子であるドルムス様が町の何処かの屋敷に隠れているって聞きました。まあ……噂ですけど」

 わざとらしく司はそう言い口角を上げ笑みを浮かべた。

 「それは本当か?」

 「ツカサ様……それは本当のことなのですか?」

 「今、噂だと言った。ですので真意は分かりません。只この噂をしていたのは一人や二人じゃないという事です」

 それを聞きバイゼグフとベンデアの顔が一瞬で青くなる。そう、もしそれが本当ならばドルムス派は間違いなく動き出すからだ。

 「ツカサ……それが噂でなく本当であったなら、お前はどっちにつく?」

 「どっちにもつくつもりはないです。そういったことに関わりたくないですので」

 「そうか……ミサキはどうだ?」

 不安な表情でバイゼグフは美咲をみる。

 「そうですねぇ……私は司と同じかなぁ。今まで何度も国の揉めごとに巻き込まれて酷い目に遭って来たから」

 「うむ……やはり無理か残念だ。まあいい……兄上の方にもつかないと云うのならな」

 「ですがバイゼグフ様。それはいいとしても……本当にドルムス様が戻られるようなことになれば」

 タラタラと汗を顔中にかきベンデアは震えていた。

 「ああ……非常にまずい。この国の財源……いや自由にできる金が減る」

 「そうなれば大変だろうな。だけど俺たちには関係ありませんので」

 「ツカサ……何かいい策略はないか?」

 そう聞かれた司は首を横に振る。

 「さっきも言いましたが。手だしをするつもりはありません。但し俺たちに見返りがあるのであれば別です」

 「見返りか。そうだな……お前たちが手を貸してくれるのであれば悪いようにはしないつもりだ」

 「司……本気なの?」

 心配に思い美咲は司に問いかけた。

 「ああ、本気だ。但し今、言ったことが本当ならになる」

 「うむ、そうだな。念書を書くとしよう。それで、どうだ?」

 「念書か……それも有耶無耶にされたら、それまでです」

 そう言われバイゼグフは悩んだ。

 その後もバイゼグフとベンデアは、どうにかして司を自分たちの味方につけたいがために色々と提案をしていたのだった。