ここはサイアル城の中庭。

 現在、ラギルノとガルディスが睨み合っていた。


 あれから二人は司から預かってきた物を全てベンデアに渡すと持ち場である中庭にくる。

 だが、ふとしたことで口喧嘩になったのだ。

 「ラギルノ! お前のせいで城に戻ってくるのが遅れたんだ」

 「知るか! オレは司に真実を言ったまでだ」

 「それだけじゃない! あの時……お前に掴まれなければ逃げられた」

 そうラギルノとガルディスは美咲と司の家で喧嘩をすれば二次災害に遭うので我慢をしつつ城に戻ってくる。

 だが自分の持ち場につき顔を合わせたと同時に、そのことで口喧嘩へと発展したのだ。

 「フンッ、それはオレの台詞だ。抵抗しなけりゃ鉄板は、お前に中っていたんだからな」

 「それは、おかしいだろ! ツカサはラギルノに目掛けて鉄板を落とした。それなのに、なぜ私が被害に遭わないといけない?」

 「自分の身を守るためなら近くにあるもので防ぐのが普通だ」

 ああ言えばこう言うで二人の口喧嘩は更にエスカレートしてきている。っていうか、ラギルノのこういう所って昔からだけど相変わらずだな(汗)

 「クッ……私を物扱いか! お前は昔から人を見下したような態度だよな」

 「見下す? オレは一度も、そんなことをしていない。但し自分よりも劣る者が相手だと上からみてしまうだけだ」

 「それが見下すって言うんだよ!」

 何時になくガルディスの口調が荒くなっていた。まあ、これだけ理不尽なことを言われれば仕方ないだろう。

 「ほう、そうなのか。まあいい……それよりもここで喧嘩をしたらまずいんじゃないのか?」

 「冷静に何もなかったように誤魔化すな! あーだが……それも、そうだ。まだ気がすまない。だが今は休戦中」

 「ああ、そう言う事だ。じゃあ仕事をするか」

 そう言いラギルノはガルディスに背を向ける。そして速足でガルディスから逃げるように離れて行った。

 (あとで絶対に痛めつけてやる!)

 再戦を心に刻みガルディスはラギルノと逆を向き歩き始める。


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 場所は変わり、バイゼグフの書斎だ。

 「うむ……流石だ」

 少し昔のお笑い芸人が着るような金ピカの服を持ちながらバイゼグフは喜び目を輝かせみている。

 「本当ですね。こんなにも、みたこともないような豪華な服を創ってしまうとは……」

 「うむ、他の品も無理だと思っていたが……みたこともないような物ばかりだ」

 「ええ……この杖などは先端に羽が生えております。それにカラフルで可愛いのも良いかと」

 魔法少女が使いそうな杖を持ちベンデアは食い入るようにみていた。意外に可愛い物が好きなようだ。そこはやはり女性だからなのだろうか。

 「二十五個か。これらを短期間で創ってしまうとはな。やはり……そばに置きたい」

 「ですが……この前の様子だと、そう簡単に首を縦に振るとも思えません」

 「ああ、そうだろうな。クッ……惜しい、これほどの物を創ることのできる者がいると云うのに」

 羽子板と羽を持ちバイゼグフは悔しがっている。

 その後も二人は司が創った物をみて絶賛していたのだった。