(ポリポリポリ……思ってたより、この豆クッキー美味しい。豆そのものの味がしていいかも……これならヘルシーだし何個も食べれるね。あーもうなくなっちゃった)

 もっと食べたいと思い泪は美咲へ熱い眼差しを送った。

 「はて? もしかして、もっと食べたいのかなぁ」

 豆クッキーに手をかけ美咲は、どうしようかと悩んでいる。

 (ください! もっと食べたいよ~……)

 羽をばたつかせて泪は籠の檻を叩き訴えかけた。

 「あげてもいいけど……これ以上、食べたら太るよ」

 それを聞き泪は、ピタッと動きを止める。そう太ると言われて、まずいと思ったのだ。

 (プニプニ……なんか太った? 私の本当の体じゃないけど……まずいよね)

 自分のお腹を翼で触りながら泪は自分の脂肪を突っついた。

 「やっぱりルイって人間の言葉が分かるのかなぁ。私が言ったことに反応したし。そういえば鳥によっては人間の言葉を覚えるって」

 泪の場合は覚えるんじゃなくて言葉を理解しているのかと納得する。

 (なんか納得しちゃったけど……まあ、その方が都合はいいけどね。
 それにしても、アッチコッチから映像が流れて来て頭痛いよ。これを全て把握しろって? 絶対に無理です(泣き)……)

 色々と思考を巡らせながら泪は美咲をみていた。


 ▼△★△▼☆▼△


 ここは司の部屋である。

 現在、司は机に向かい思考を巡らせていた。

 (仕分けは終わった。あとは、ラギルノとガルディスに伝えればいいだけだ。それにしても……なんで俺は、こんなことしてるんだろうな。
 自分でも呆れるよ……ここまでお人好しだと。そうは思っても困っているヤツをみると放っておけない。やっぱり駄目だな……俺は……)

 ハァーっと溜息を漏らすと仕分けした依頼書の二束をクリップでとめる。依頼を受ける方は青で赤が受けない方だ。

 その二束を持つと司は椅子から立ち上がり扉の方へ向かい通路側に出て先程いた部屋へ向かった。


 ▼△★△▼☆▼△


 場所は戻り美咲と泪が居る部屋である。

 司は部屋に入ってくるなり、ラギルノとガルディスを呼んできてくれと美咲に伝えた。

 それを聞いた美咲は二人を呼びに向かうため部屋をでる。

 美咲が部屋を出たのを確認すると司は、ソファに座り持ってきた二束の依頼書をテーブルに無造作に置いた。

 「さてと……待っている間ひまだ。……ん?」

 みたことのないクッキーがテーブルに置いてあり、これはなんだろうと手に取ってみる。

 「クッキーなのは分かる。んー……この粒は砕かれた豆か? 味はどうなんだ?」

 気になり豆クッキーを口に運び司は、ポリッと音を立て食べた。

 「……」

 絶句し首を傾げる。

 「味がない……なんでだろう。味付け忘れたのか?」

 不思議に思いながら司は泪へ視線を向けた。

 泪は欲しそうに司の手元にあるクッキーをみている。

 「もしかして……この豆クッキーってルイのだったのか?」

 手元のクッキーへ視線を向けると司は納得した。鳥用だけど大丈夫だと思い司は手に持っている分だけ食べる。

 その後、司は口直しに他のクッキーを食べながら美咲たちがくるのを待った。