……――翌日、場所は美咲と司の屋敷だ。


 屋敷の一室では美咲と司が眼前でソファに座っているラギルノとガルディスを見据えている。

 お茶やお菓子の他テーブルの上には泪が入っている籠が置かれていた。

 「なんで、お前たちが来てるんだ?」

 「任務だから仕方ないだろ」

 「ラギルノの言う通り、そういう事だ。これから私とラギルノで依頼を持ってくる」

 嫌そうな顔でガルディスは依頼書を数枚テーブルの上に置くと深い溜息をもらす。

 「嫌なら受けなければいいんじゃないのか?」

 「ツカサ……断れない理由を知ってて言っているよな?」

 「ああ、勿論だ……ラギルノ」

 テーブルの上に置かれている束の依頼書を取り司は一枚一枚みる。

 「受けられる依頼はあるのか?」

 「ラギルノ……見始めたばかりだ。こんなにある依頼を、そんな早くみれる訳ないだろ!」

 ジト目で司はラギルノをみた。

 「なんか落ち着きないね。ラギルノだけじゃなく、ガルディスもだけど」

 「ミサキ、悪いが……ラギルノと一緒にしないでくれないか」

 「それは、こっちの台詞だ。なんでお前なんかと一緒にこなければならんのだ」

 我慢の限界に達してしまったラギルノとガルディスは、お互いに睨み合い今にも取っ組み合いの喧嘩をしそうな雰囲気である。

 「おい、こんな所で喧嘩なんかするなよな。もし、したら出入禁止にするぞ」

 そう言われラギルノとガルディスは、お互い不貞腐れながら目を逸らす。

 「そ、そうだな……仕事がなくなるのは困るし……」

 「ここまで来て……しくじる訳にもいかん」

 「そういう事だ。ってことで、もう少し待っててくれ。ここに居るのがつらいなら……別々に部屋を用意する。そこで待っててくれないか」

 少し考えたあとラギルノとガルディスは、コクッと頷いた。

 「美咲、二人の部屋を用意してくれ」

 「うん、分かった。じゃあ、準備してくるね」

 ニコッと笑い美咲は立ち上がると部屋をでる。

 その間、司は依頼書を確認しながら仕分けしだした。

 ガルディスはテーブルの上のお茶を飲み始める。

 この場に居るのが嫌なのかラギルノは席を立ち部屋の中をウロウロしだした。

 それを泪は籠の中からみている。

 (司さんもなのか、ラギルノさんとガルディスさんだけが仲が悪いと思ってたけど。この三人って、どうして仲が悪いの?
 ラギルノさんとガルディスさんは敵国同士だったから分かる。司さんとラギルノさんが仲が悪いのも分かるよ。
 でも……司さんとガルディスさんて一緒に旅をしたんだよね? それに司さんと美咲さんは助けられているはず。
 美咲さんが書いてた小説には、そう書いてあったけど。まさか違うの? それとも……あとで何かあったのかも。
 だけど現在ここには男三人だけかぁ。この三人の中で一番に若いのって司さんだね。で、ラギルノさんが上かな? それでガルディスさんが二番目。
 見た目だけならガルディスさんが、この中ではカッコいい。二番目は司さんかなぁ。
 眼鏡をかけているせいもあるけどラギルノさんは頭がよさそう。って……私は、なんでランク付けしてるんだろうねえ。アハハハハ……)

 何をやってるのかと泪は額から汗を流し反省をしていたのだった。