――……二日後……――
ここはサイアル城の地下にある特別室。この場所にはバイゼグフ王子と大臣ベンデアがいた。
二人の目の前には司と美咲がいる。それと美咲は泪の入っている鳥籠を持っていた。
なぜ美咲と司が居るのかは二日前、城から書簡が届き招かれたのである。
司が最初は断った。だが次の日、城から来た使者に言われ司は仕方なく承諾する。
そして現在、美咲と司はバイゼグフとベンデアと話をしていた。
「お招きありがとうございます。ですが、なぜ地下なんですか?」
そう言い司はバイゼグフを見据える。
「フンッ、商人や平民風情と会うのに……良い場所を用意する必要などない」
「なるほど……確かにそうですね。それはそうと俺たちは、なんのために呼ばれたのでしょう?」
「チッ、質問が多いぞ。質問をしたいのは私の方だ」
バイゼグフは苛立ち司を睨んだ。
「これは申し訳ありませんでした。余りにも不思議だったものですので」
「グッ……まあいい。それよりも、お前たちのことは商人たちから聞いた……良い物を作るそうだな。いや……そもそも、お前たちは何者で何処から来た?」
「はあ……なぜ言わなければいけないんですか?」
そう言われバイゼグフは更に苛立ってくる。
「グヌヌ……なぜ名乗らぬ」
「王子……もしやこの者たち名乗れないような素性なのでは?」
「ほう、それならば言いたくない訳も分かる。だが、それとこれとは別だ。まあ、そうだな……もしそうなら口外しないという事なら問題ないだろう」
それを聞き司は考えた。
(素性を明かすのは、もう少し間を開けた方がいいのか? だが……下手に怒らせても面倒だしな)
そう思いながら司は美咲をみる。
美咲は司が悩んでいることを察した。
「司、言ってもいいんじゃないかな」
「今なんと言った? ツカサと言ったのか……もしや勇者ツカサと聖女ミサキか?」
「そ、それは……」
わざと司は口を濁し俯く。
「バレても問題ないよ。なんかあれば、この城を破壊しちゃえばいいんだから」
美咲はわざとそう言い司をみる。
それを聞き司は美咲が演技をしていることを分かっていた。だが司は、余りにも凄いことを言われたため顔が青ざめる。
「やはりそうでしたか……これは失礼をしました。それならば素性を容易に明かせませんね」
そう言いベンデアは、ニヤリと笑みを浮かべた。
「申し訳ありません。そこまで知られてしまったなら事情を話すしかないか」
そう司が言うと美咲は首を縦にふる。
「いや……話す必要はない。勇者と聖女のことは、だいたい聞いておる。事情も身を隠すためであろう」
「はい、ここにくるまでに色々ありましたので」
「うむ、そうか……そうだな。素性も分かったことだ。どうだ? 専属で私の欲しい物を創ってくれまいか」
そう問われ司は首を横に振った。
「申し訳ありません……城に仕える気はない。俺たちの噂を聞いているなら、その理由は分かりますよね?」
「ふむ……それならば金を払い依頼をすると云うのではどうだ?」
それを聞き司は考えているフリをする。そう受けることは既に決めていたからだ。
「……迷いましたが受けます。ですが依頼内容が無理だと思ったら断っても構いませんよね?」
「グヌ……致し方ないか、それで構わぬ。ベンデアもそれでいいな?」
「ええ、勿論でございます」
そう言いベンデアは、誘うような目で司をみつめる。
美咲はそれに気づきベンデアを睨んだ。
片や司はベンデアのことなんて眼中になく視界にすら入っていない。
まあ美咲以外の女性は元々眼中にないだけである。
そしてその後も四人は話をしていて、それを泪が籠の中からみていた。
ここはサイアル城の地下にある特別室。この場所にはバイゼグフ王子と大臣ベンデアがいた。
二人の目の前には司と美咲がいる。それと美咲は泪の入っている鳥籠を持っていた。
なぜ美咲と司が居るのかは二日前、城から書簡が届き招かれたのである。
司が最初は断った。だが次の日、城から来た使者に言われ司は仕方なく承諾する。
そして現在、美咲と司はバイゼグフとベンデアと話をしていた。
「お招きありがとうございます。ですが、なぜ地下なんですか?」
そう言い司はバイゼグフを見据える。
「フンッ、商人や平民風情と会うのに……良い場所を用意する必要などない」
「なるほど……確かにそうですね。それはそうと俺たちは、なんのために呼ばれたのでしょう?」
「チッ、質問が多いぞ。質問をしたいのは私の方だ」
バイゼグフは苛立ち司を睨んだ。
「これは申し訳ありませんでした。余りにも不思議だったものですので」
「グッ……まあいい。それよりも、お前たちのことは商人たちから聞いた……良い物を作るそうだな。いや……そもそも、お前たちは何者で何処から来た?」
「はあ……なぜ言わなければいけないんですか?」
そう言われバイゼグフは更に苛立ってくる。
「グヌヌ……なぜ名乗らぬ」
「王子……もしやこの者たち名乗れないような素性なのでは?」
「ほう、それならば言いたくない訳も分かる。だが、それとこれとは別だ。まあ、そうだな……もしそうなら口外しないという事なら問題ないだろう」
それを聞き司は考えた。
(素性を明かすのは、もう少し間を開けた方がいいのか? だが……下手に怒らせても面倒だしな)
そう思いながら司は美咲をみる。
美咲は司が悩んでいることを察した。
「司、言ってもいいんじゃないかな」
「今なんと言った? ツカサと言ったのか……もしや勇者ツカサと聖女ミサキか?」
「そ、それは……」
わざと司は口を濁し俯く。
「バレても問題ないよ。なんかあれば、この城を破壊しちゃえばいいんだから」
美咲はわざとそう言い司をみる。
それを聞き司は美咲が演技をしていることを分かっていた。だが司は、余りにも凄いことを言われたため顔が青ざめる。
「やはりそうでしたか……これは失礼をしました。それならば素性を容易に明かせませんね」
そう言いベンデアは、ニヤリと笑みを浮かべた。
「申し訳ありません。そこまで知られてしまったなら事情を話すしかないか」
そう司が言うと美咲は首を縦にふる。
「いや……話す必要はない。勇者と聖女のことは、だいたい聞いておる。事情も身を隠すためであろう」
「はい、ここにくるまでに色々ありましたので」
「うむ、そうか……そうだな。素性も分かったことだ。どうだ? 専属で私の欲しい物を創ってくれまいか」
そう問われ司は首を横に振った。
「申し訳ありません……城に仕える気はない。俺たちの噂を聞いているなら、その理由は分かりますよね?」
「ふむ……それならば金を払い依頼をすると云うのではどうだ?」
それを聞き司は考えているフリをする。そう受けることは既に決めていたからだ。
「……迷いましたが受けます。ですが依頼内容が無理だと思ったら断っても構いませんよね?」
「グヌ……致し方ないか、それで構わぬ。ベンデアもそれでいいな?」
「ええ、勿論でございます」
そう言いベンデアは、誘うような目で司をみつめる。
美咲はそれに気づきベンデアを睨んだ。
片や司はベンデアのことなんて眼中になく視界にすら入っていない。
まあ美咲以外の女性は元々眼中にないだけである。
そしてその後も四人は話をしていて、それを泪が籠の中からみていた。