ここはセフィルディの屋敷。そして美咲と司のために用意された部屋だ。

 現在、美咲と司はソファに座り話をしている。

 因みに泪は相変わらず司の頭の上に乗っていた。

 「明日か……まさか、こんな所で今の悪名が役に立つなんてな」

 「司……顔が引きつってるよ。てかさ、本当は嫌なんじゃないの?」

 「ああ、本当なら素性を明かさずやれればいいんだけどな」

 言っていることと態度が明らかに違っている。余程、嫌なのだろう。

 「ハァー……まぁセフィルディさんが言うように、下手に隠すよりもいいのかもしれない……それは分かってるんだ。だが……クソッ!」

 そう言い司はテーブルを、ドンッと叩いた。

 「うん……私たちって、今までいいように利用されてきたから。でも司ってさ、頼まれると断らないよね……嫌なんでしょ?」

 「なんでだろうな……断ろうと思っていても、引き受けてしまうんだ」

 それを聞き美咲は、優しく微笑み司をみる。

 「司は、優しいからだよ。んー……違うか、そういえば単純なんだったっけ」

 「あのなぁ。それじゃ褒めてるんだか、貶してるのか分からないだろ!」

 「クスクス……からかってるだけだよーだ」

 そう言い美咲は、ケラケラと笑いだした。

 それをみていた泪は、目が点になっている。

 (美咲さんって、こんなことも言うのかぁ。んー……私は、グレイに同じこと言えるのかな? なんか思い出したら逢いたくなっちゃった。今頃……どうしてるんだろう)

 泪はグレイフェズのことを思い出してしまい涙が溢れでた。

 「うわぁー冷たい! ルイ、俺の頭にお漏らししたなぁー!!」

 そう言い司は、ルイを捕らえようと試みる。

 だが泪は、素早く逃げた。その後、思いっきり司の頭をくちばしで突っつく。

 「いてぇー!! こら、いい加減にしろ!」

 「待って、ルイ……泣いているみたい」

 「泣いてるって……なんでだ?」

 そう聞かれ美咲は首を横に振る。

 「分からないけど……家族と逢いたいのかも」

 「そうか……そうだよな。ルイは逸れて、俺たちの所に来たんだろうし」

 「そうだね……あとで探してあげないと」

 そう言い美咲は、微笑み泪をみる。

 「ああ……それには、この件を早く片付けないとな」

 「うん、じゃあ明日の準備をしないと」

 美咲はそう言い立ち上がり準備を始めた。

 それをみた司は、自分もやるかと準備を始める。

 (そういえば、セフィルディさんが言ってたな。ルイが神の使いかもしれないって……。それはないにしても、偶に俺の感情に反応している。
 まさか……中身は、人間なのか? いや、そんなことある訳ない。ウンウン……どう考えても考えすぎだ)

 そう司が思っていることが聞こえている泪は、鋭いと驚き冷や汗をかいていた。

 (やっぱり凄いな。特に勘が鋭い。普段は頼りなくみえるのにね)

 そう思考を巡らせながら泪は、頭から飛び立ち司の目の前にくる。

 そして泪は、しばらく司をみていたのだった。