ここは村長の屋敷の外。その庭の木陰に人影がみえる。その人影は女性だ。
その女性は、赤紫色の短い髪をかき上げ村長の屋敷をみている。
(……なんでボスは……こんな依頼、受けちゃったんだろう。どうみても明らかに、依頼主の方が悪者だしさぁ)
そう思いながら俯いた。
この女性はサフィア・バグマ、二十三歳で冒険者である。
ここに来た理由は言うまでもなく、ドルムスを暗殺するためだ。
因みにサフィア以外の者も別の場所で待機している。
★☆★☆★☆
そしてここは、屋敷の中の客間。窓の外には泪が中を覗いていた。
(村長さんが帝都の王子様。それと……本当の名前がドルムス・A・ファルゼアで、今の姓はこの家の養子になったから違うってことか。なんか複雑だなぁ……)
そう思いながら二人の会話を聞いている。
「いい加減にしてください。なぜ城に戻りたくないのですか?」
「戻りたくない訳ではない。だが、今更……この村を捨てる訳にもいかぬ」
「そうですね。誰か代わりの者は居られないのですか?」
そう問われドルムスは首を横に振った。
「いない……だから、私が養子になり跡を継いで村長になったのだからな」
「なぜ貴方さまが跡を継がなければいけないのですか? そもそも、その理由が分かりません」
「話していなかった、か。そうだな……確かになんの縁もない私が跡を継ぐ必要はない。だが、私は助けられたのだ。あの日、城を出たあと……」
ドルムスはその時のことを語り始める。
……――ドルムスは弟に継承権を譲ったあと城を抜け出した。
それからひたすら旅を続けこのログロスの村を訪れる。
だがその頃には、所持金が底をつき村に辿り着いたと同時に倒れた。
そんなドルムスを、前の村長が助けたのである。
……――そんなこんなで恩もあり、村長が生前の頃に養子縁組をしたのだ。勿論、ドルムスが帝都の王子であることは知らずにである。
「そうだとしても……断れましたよね?」
「そうだな。だが、放っておけなかった。この村を治める者が居なくなる」
「村のためですか? それとも……前の村長に恩があったから」
そう言いセフィルディは、真剣な表情でドルムスを見据えた。
「両方だ。……もういいだろう、この話は」
「そうですね。ですが、ドルムス様の命を狙っている者をこのままにしておけません」
「確かに……そうだな。だが、城には戻らん。それは、変えるつもりはない」
それを聞きセフィルディは、ハァ~っと溜息をつく。
「どうしても、戻らないという訳ですね。ではこの村を任せることができる者を、新たに探して来ましょう。これでも、駄目でしょうか?」
「お前は、昔から食い下がらんな。うむ、確かに城の方も心配だ……分かった! だが、みつかったらになる」
「それでは、商談成立ですね。では、一刻も早くみつけて参りましょう」
そう言いセフィルディは、ニヤリと笑みを浮かべた。
それをみたドルムスは嫌な顔をする。
そしてその後セフィルディは、屋敷の外に出たのだった。
その女性は、赤紫色の短い髪をかき上げ村長の屋敷をみている。
(……なんでボスは……こんな依頼、受けちゃったんだろう。どうみても明らかに、依頼主の方が悪者だしさぁ)
そう思いながら俯いた。
この女性はサフィア・バグマ、二十三歳で冒険者である。
ここに来た理由は言うまでもなく、ドルムスを暗殺するためだ。
因みにサフィア以外の者も別の場所で待機している。
★☆★☆★☆
そしてここは、屋敷の中の客間。窓の外には泪が中を覗いていた。
(村長さんが帝都の王子様。それと……本当の名前がドルムス・A・ファルゼアで、今の姓はこの家の養子になったから違うってことか。なんか複雑だなぁ……)
そう思いながら二人の会話を聞いている。
「いい加減にしてください。なぜ城に戻りたくないのですか?」
「戻りたくない訳ではない。だが、今更……この村を捨てる訳にもいかぬ」
「そうですね。誰か代わりの者は居られないのですか?」
そう問われドルムスは首を横に振った。
「いない……だから、私が養子になり跡を継いで村長になったのだからな」
「なぜ貴方さまが跡を継がなければいけないのですか? そもそも、その理由が分かりません」
「話していなかった、か。そうだな……確かになんの縁もない私が跡を継ぐ必要はない。だが、私は助けられたのだ。あの日、城を出たあと……」
ドルムスはその時のことを語り始める。
……――ドルムスは弟に継承権を譲ったあと城を抜け出した。
それからひたすら旅を続けこのログロスの村を訪れる。
だがその頃には、所持金が底をつき村に辿り着いたと同時に倒れた。
そんなドルムスを、前の村長が助けたのである。
……――そんなこんなで恩もあり、村長が生前の頃に養子縁組をしたのだ。勿論、ドルムスが帝都の王子であることは知らずにである。
「そうだとしても……断れましたよね?」
「そうだな。だが、放っておけなかった。この村を治める者が居なくなる」
「村のためですか? それとも……前の村長に恩があったから」
そう言いセフィルディは、真剣な表情でドルムスを見据えた。
「両方だ。……もういいだろう、この話は」
「そうですね。ですが、ドルムス様の命を狙っている者をこのままにしておけません」
「確かに……そうだな。だが、城には戻らん。それは、変えるつもりはない」
それを聞きセフィルディは、ハァ~っと溜息をつく。
「どうしても、戻らないという訳ですね。ではこの村を任せることができる者を、新たに探して来ましょう。これでも、駄目でしょうか?」
「お前は、昔から食い下がらんな。うむ、確かに城の方も心配だ……分かった! だが、みつかったらになる」
「それでは、商談成立ですね。では、一刻も早くみつけて参りましょう」
そう言いセフィルディは、ニヤリと笑みを浮かべた。
それをみたドルムスは嫌な顔をする。
そしてその後セフィルディは、屋敷の外に出たのだった。