ここはログロス村。雲一つなく快晴である。

 なぜか泪は、外にいた。

 そう、あれから泪は司に外に追い出されたのだ。

 (……まぁ、部屋で暴れたから仕方ないか。ハハハ……)

 泪はそう思いながら空を飛んでいる。

 (そういえば、誰かくるって言ってたなぁ。ちょっとみてこよう……)

 そう考えると帝都から来た偉い人が居る方へ向かい飛んでいった。


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 ここは村長の屋敷。外観は……然程、豪華でない。ボロとまではいかないが、綺麗とも言えないだろう。中は、流石に綺麗に整頓されているようだ。

 泪は村長の屋敷の窓枠にとまり中を覗いていた。

 (……中の声が頭に入ってくる。必要な会話だから聞けってことかな?)

 そう思いながら屋敷の客間らしき場所をみている。そこには、村長と帝都から来た者がソファに座り話をしていた。

 因みに村長の名は、ドルムス・グムド。年齢は三十一歳である。……村長にしては、まだ若いようだ。

 「……わざわざこんな辺境にある村にお越し頂きありがとうございます。それで、今回のご用件は?」

 「用件か……」

 そう言われその帝都から来た者は、泪がとまる窓の方をみたあとドルムスへ視線を向ける。

 「……!?」

 泪は驚いた。

 (……似てる。カイルディさんに……。まさか、先祖とか? 髪の色も……似てないのは、若干キツメの目つきかな)

 そう思いながら更に話を聞く。

 その帝都から来た者の名前は、セフィルディ・リゲル。年齢は、二十八歳である。役職は、神官だ。

 そう泪が思った通り、カイルディの祖先だ。役職まで一緒である。

 「セフィルディ様、どうされました?」

 「いや、窓に小鳥がとまっていたのでな」

 「これは……気になるのでしたら追っ払いましょう」

 それを聞きセフィルディは、ドルムスを静止させる。

 「よい、そのままで。ただ、可愛いと思っただけ」

 「そうでしたか……確かに可愛いですね。どこから来たのでしょう?」

 「そうだな。それはそうと、今日ここに来た理由……」

 セフィルディはここに来た理由を説明し始めた。

 「そういうことですか……セフィルディ様も大変ですね」

 「それは、貴方の方だと思いますが……」

 「いえ、私は……既に権利を放棄しております。ですので、この件に関わるつもりはありません」

 そう言いドルムスは、セフィルディを睨んだ。

 「いいえ、恐らく城の者の一部はそう思っていないでしょう。それに亡き王……貴方さまの父君は、認めておりませんよ。死ぬ間際も……」

 「それ以上、言うな!? 私は、城に戻る気などない。もし狙われるようであれば、自分でなんとかする」

 「いい加減にしてください!! 第一王子の貴方さまが、跡を継がずに……あのバイゼグフ王子に譲るつもりですか?」

 そう言われドルムスは、一瞬だけ躊躇った。

 「……アイツは相変わらずなのか? 私が退いても……」

 「ええ、変わりませんよ。このままでは、帝都がなくなります」

 「そうか、そこまで城の借金が増えていると。だがなぁ……」

 ドルムスは、どうしたものかと考え始める。

 (えっと……ドルムスさんが村長で、帝都の王子さま? でも、なんでこんな所にいるのかな……)

 そう思いながら泪は、二人の話を聞いていたのだった。