ここは美咲と司の寝室。二人はベッドに寝ている。……その先は、ご想像にお任せします。

 泪は少し離れた低い棚の上にいた。

 (流石に、二人の傍にいるのは……)

 そう思い泪は、顔を赤らめる。

 (……だけど、驚いたなぁ。偶然なんだろうけど、二人の子供が産まれてたら私と同じ名前だったなんて。
 だけど、なんか変な気持ち。美咲さんのそばに居ると、懐かしいような……安心できるんだよね。なんでだろう?)

 そう思考を巡らせた。だが分からず、ちょこんと首を傾げる。

 (んー、分からないし……いいや。それよりも、明日はどうなっちゃうの? 帝都から誰かくるって言ってたし。二人は、なんとかやり過ごそうとしているけど。
 ……考えていても仕方ない、か。それにしても、なんのために私はここにいるのかな。能力は、使えないしさぁ)

 泪はそう考えたあと飛び立ち窓の方へと向かった。

 窓の外が覗ける台の上にとまる。すると泪は、外の様子をみた。

 (暗いね……当たり前か。でも、鳥の目って夜はみえないんじゃなかった? 凄く、良くみえるんだけど……)

 そう考えながら外を眺めている。


 ――いやいや、鳥の目が夜みえないってことはないみたいです。鶏は、夜間みえないらしいですが……――


 (外は静かだなぁ……夜だから余計か。それにしても、暇……眠れないし。どうしよう……ここで寝たフリしてようかな)

 そう思い泪は目を閉じた。


 ★☆★☆★☆


 ……――翌日。美咲は泪を左肩に乗せると裏庭に向かう。

 片や司は、自分の部屋の椅子に座り机上に手を乗せて何かを考えている。

 (……この世界に来て、いいことがない。唯一あったのは、美咲と結ばれたことぐらいだ。それ以外は、いいように利用されてきた。もう、ごめんだ!
 元の世界に帰れないなら……いっそのこと、この世界を消滅させてやる)

 そう思い、一つの箱を机上に置いた。

 (この箱をいくつも創って、ここに厄災を詰め込む。箱の色によって、厄災の種類を変える。それを、全世界にばらまく。無作為にな……。
 だがそれをするには……時間が必要だ。一つや二つじゃ足りない……沢山創らないと)

 そんなことを考えている。……これ誰かがとめないとって、そういう事です。このおかげで何ヶ所もの国が滅んだのだ。

 (……それに、箱には厄災のことを書いておく。開けるヤツがいるかどうか……いれば、国を滅ぼしたいと思ってだろうな。
 どんな使われ方を、しても構わない。とにかくこの世界を消滅させる)

 司はそう思いながら、箱を創っていく。……計十五箱が床に置かれている。

 それを司は、色分けで並べていった。

 (とりあえず、箱は創った。あとは、箱ごとに厄災を詰めて飛ばす。それをいつやるかだな。それと、この噂を流す必要がある……)

 そう思考を巡らせながら司は、後ろの窓に座ったまま体を向ける。そして、窓の外を覗いた。