ここはカロムの屋敷の書斎。カロムは窓から外を眺めていた。
(……ティハイド様は、いつまでこんなことを続けるつもりだ。この領土の民のためだといってはいるが。それなら錬金技術だけでも、なんとかなるはず。
そうは思っても……逆らえない。俺だけなら……家族さえいなければ、俺の能力でなんとかなる。でもそんなことしたら……)
遠くをみつめながら、フゥーっと息を漏らす。
(ルイか、恐らく転移者だろう。そういえば、なんのためにここに来た? ただメイドになりたいためなのか……。そうじゃないとすれば、誰かの依頼で動いてる。
もしそうなら、吐かせるか? いや……利用する手もある。だが露見すれば、俺だけじゃなく家族も……ただじゃすまない。どうする?)
そう思いながら目を閉じ自問自答する。
(もしそうだとしたら、恐らくルイの依頼主は国に関係する者。始末するか……いや、やめておこう。それに敢えて……その方がいい。その方がまだマシだ。それに流石にいい加減……。まぁ自分が、今までやって来たことは許されないけどな)
そう考えがまとまると瞼を開き、ニヤリと口角を上げた。
(だがこれをするにも、マリリサに気づかれるとまずい。ヤツらと繋がっているからな)
カロムはそう思いながら扉の方をみる。
「さて、明日……だな」
そう言い椅子に腰かけ机上の一点をみつめた。
――場所は、灰色の男が居る部屋へ移る――
灰色のローブの男は、椅子に座りマリリサと話をしていた。
あれから灰色のローブの男は、部屋に入るなりローブを脱ぎ椅子に掛ける。その後、椅子に座った。
この男はラグロ・セヴェス、二十六歳だ。体格が良く、太ってもいない。黒っぽい茶色でウエーブがかったミディアムの髪。容姿は、キツめである。
マリリサはラグロを、物欲しそうにみていた。
「マリリサ、お前からみて……その二人の少女はどんな感じだ」
「そうですね……ルイという子は、この世界の者とも言えない程に可愛いです。メーメルという子は、話し方が乱暴ですけれど……こちらも可愛いですよ」
「そうか……それは楽しみだ。それで、カロムは明日以降と言っていたが……なぜすぐに行動しない?」
そう言われマリリサは、小首を傾げる。
「行動しない訳は分かりません。ですが、恐らく今日ティハイド様の用もあったみたいですので……そのせいかと思われます」
「なるほど……それで戻りが遅かった訳か。まぁいい……」
そうラグロは言い、マリリサをみつめた。
みつめられたマリリサは、ポッと顔を赤らめる。
「あーそうでした。食事の用意をしてまいります」
「そうだな……そのあとは、分かってるな」
「はい、勿論です!」
そう言うとマリリサは、ニコリと笑った。その後、部屋を出て厨房へ向かう。
それを確認するとラグロは、椅子に寄りかかり目を閉じる。そしてその後、色々と考えていたのだった。
(……ティハイド様は、いつまでこんなことを続けるつもりだ。この領土の民のためだといってはいるが。それなら錬金技術だけでも、なんとかなるはず。
そうは思っても……逆らえない。俺だけなら……家族さえいなければ、俺の能力でなんとかなる。でもそんなことしたら……)
遠くをみつめながら、フゥーっと息を漏らす。
(ルイか、恐らく転移者だろう。そういえば、なんのためにここに来た? ただメイドになりたいためなのか……。そうじゃないとすれば、誰かの依頼で動いてる。
もしそうなら、吐かせるか? いや……利用する手もある。だが露見すれば、俺だけじゃなく家族も……ただじゃすまない。どうする?)
そう思いながら目を閉じ自問自答する。
(もしそうだとしたら、恐らくルイの依頼主は国に関係する者。始末するか……いや、やめておこう。それに敢えて……その方がいい。その方がまだマシだ。それに流石にいい加減……。まぁ自分が、今までやって来たことは許されないけどな)
そう考えがまとまると瞼を開き、ニヤリと口角を上げた。
(だがこれをするにも、マリリサに気づかれるとまずい。ヤツらと繋がっているからな)
カロムはそう思いながら扉の方をみる。
「さて、明日……だな」
そう言い椅子に腰かけ机上の一点をみつめた。
――場所は、灰色の男が居る部屋へ移る――
灰色のローブの男は、椅子に座りマリリサと話をしていた。
あれから灰色のローブの男は、部屋に入るなりローブを脱ぎ椅子に掛ける。その後、椅子に座った。
この男はラグロ・セヴェス、二十六歳だ。体格が良く、太ってもいない。黒っぽい茶色でウエーブがかったミディアムの髪。容姿は、キツめである。
マリリサはラグロを、物欲しそうにみていた。
「マリリサ、お前からみて……その二人の少女はどんな感じだ」
「そうですね……ルイという子は、この世界の者とも言えない程に可愛いです。メーメルという子は、話し方が乱暴ですけれど……こちらも可愛いですよ」
「そうか……それは楽しみだ。それで、カロムは明日以降と言っていたが……なぜすぐに行動しない?」
そう言われマリリサは、小首を傾げる。
「行動しない訳は分かりません。ですが、恐らく今日ティハイド様の用もあったみたいですので……そのせいかと思われます」
「なるほど……それで戻りが遅かった訳か。まぁいい……」
そうラグロは言い、マリリサをみつめた。
みつめられたマリリサは、ポッと顔を赤らめる。
「あーそうでした。食事の用意をしてまいります」
「そうだな……そのあとは、分かってるな」
「はい、勿論です!」
そう言うとマリリサは、ニコリと笑った。その後、部屋を出て厨房へ向かう。
それを確認するとラグロは、椅子に寄りかかり目を閉じる。そしてその後、色々と考えていたのだった。