ここはティハイドの屋敷。そして倉庫のような部屋だ。

 ベルべスクは、自分のベッドでゴロンと寝転がり目を瞑っている。

 (グレイフェズは、別の仕事か。護衛以外……何をやらせる? なんか不安だ……嫌な予感しかしねぇ)

 そう思いながら眠ってしまった。

 一方ムドルは、目を閉じベッドに腰かけながら考えている。

 (グレイの仕事とは? 考えても分かりません。まぁそれはなんとか大丈夫でしょう。それよりも……この胸騒ぎは、なんでしょうか。まさか、ルイさんの身に何かあったのでは……)

 そう脳裏をよぎりムドルは、徐に瞼を開き不安な表情を浮かべた。



 ――場所は、グレイフェズが居る部屋に移る――


 眠っていたがグレイフェズは、再び目覚めた。

 (ルイ……。なんだこの胸騒ぎは? なぜか二ヶ月前にタルキニアの町であった人攫いの事件を思い出した。……それにそもそも、メイドを複数人も雇うって……それも年齢制限まで)

 そう思いながら天井の一点をみつめている。

 (考えすぎか? それなら、いいんだ……。だが……どうも落ち着かない)

 大丈夫だと言い聞かせるも落ち着かず、グレイフェズは更に考えてしまった。



 ――場所は、カロムの屋敷へと変わる――


 ここは泪とメーメルの部屋。そしてメーメルは、自分のベッドの近くの壁に寄りかかり不安な表情を浮かべている。

 (……変な胸騒ぎがするのじゃ。ムドル……アレは、大丈夫じゃな。そうなると……ルイ? それなら先程、この感覚になってたはず。いったいなんなのじゃ……この不安感は……)

 そう思いながらベッドに腰かけた。

 (うむ、考えても分からぬ。……自分のことかもしれない、気をつけるかのう)

 そう考えるとメーメルは、必要そうな荷物をバッグから取り出し異空間の収納ケースに放り込んだ。



 ――場面は、ルイ視点に変わる――


 ベッドの上でトラットを抱きながら、色々と私は考えていた。

 メーメルは自分のベッドの方で何かしている。


 ……自分のことも心配だけど。なんだろう? それとは違う……この胸騒ぎ。まさか、グレイの身に何かあったの? でもグレイは強いし大丈夫だと思う……考えすぎかな。


 そう考えたけれども、やっぱり落ち着かない。


 メーメル、荷物の整理してる。私も、やっておいた方がいいかな?


 そう思い私は、バッグの中身をみた。


 えっと……バッグの中よりも、異空間に仕舞っておいた方がいいかな? もしかしたら荷物は持っていけないかもだしね。


 私はトラットを枕元に置く。その後、左の腕輪に手を添え異空間を開けた。そこに、持って来ていた荷物を全て入れる。


 これでいいよね。あとは、待つだけ。だけど変な感じ……わざわざ、捕まるのを待ってるって)


 そう思い私は、複雑な気持ちになり苦笑した。

 その後、荷物を入れ終えると異空間を閉じる。

 それから私は、再び色々と考えていたのだった。