ムドルはグレイフェズを睨み考えていた。

 (さて、どうしましょうか。わざと負ける……いえ、その選択肢はありません。それに、もしこれでグレイが試験に落ちたとしても……問題ないでしょう。
 ベルべスクも居ますので……いいえ、自分だけでもやれます。ただ……そうですね。賭けを持ちかけますか……その方が面白いですし)

 そう思いながらムドルは、グレイフェズを見据える。

 (ムドルの表情が変わった。何を考えている? それに、何かを納得したかのような顔をしているようだが)

 そう考えグレイフェズはムドルを凝視した。

 「グレイ、賭けをしないか?」

 「賭け?」

 「そうだ。ただ戦うだけじゃつまらない。どっちかが勝ったら、ルイさんとデート。ってことで、どうだ?」

 そう言いムドルは、ニヤッと笑う。

 「ルイと……デート。それは面白いが……。そもそもルイが、了承するとも思えない」

 「デートと言えば、すんなり首を縦に振らないだろうな。買い物などと、何か口実を作ればいい」

 「なるほど……それなら、可能かもな」

 グレイフェズはそう言うと、ニヤリと笑みを浮かべる。

 「それと、条件を一つ。オレを倒せば、あの浮遊魔鉱石を全て破壊していい」

 「……賭けに、条件。なるほど……お前、本気だな。俺が試験に落ちても、問題ないって訳か」

 「ああ、そういう事だ。どうした? やる気をなくしたのか」

 そう問われグレイフェズは首を横に振った。そのあと、ムドルを鋭い眼光で睨んだ。

 「そんなわけねえだろう、が。ああ、分かったよ!! お前がそういう考えなら、やってやろうじゃねえか」

 半分やけくそになりグレイフェズはそう言った。

 「フッ、さて……面白くなりそうだ」

 「そうだな……」

 そう言い二人は、お互い睨み合い身構える。

 (この様子じゃ、本気みたいだ。ってことは、俺もマジにならねえとな)

 そう思いグレイフェズは、剣を持ち直し体勢を整えた。

 (さぁ……やりますか。まあ殺さない程度にですが……半殺し程度には、痛めつけるかもしれませんけどね。そうでなければ、意味がない)

 そう思考を巡らせながら身構えるとムドルは、ニヤッと笑いグレイフェズをみやる。

 それと同時にムドルは、素早く駆け出し跳び上がりグレイフェズの背後を取った。

 (早いっ!?)

 グレイフェズは背後を取られた瞬間、咄嗟にムドルへと回し蹴りをする。

 瞬時にムドルは、グレイフェズの脚を掴んだ。するとムドルは、グレイフェズをそのまま持ち上げ地面に叩きつける。

 「グハッ!! 容赦ねえな」

 地面に叩きつけられグレイフェズは、口から血を吐いた。そして、血が額を流れ落ちる。

 そう言い放つとグレイフェズは、よろけながら立ち上がりムドルを睨んだ。

 「当然、デートがかかっているからな。というか、グレイ……お前の実力はそんなもんか?」

 そう言いムドルは、グレイフェズを挑発する。

 「そんな分けねえだろう……まだまだだっ!」

 グレイフェズはそう言い剣を構え直した。

 (クソッ、負けてたまるかよ! ムドルにルイを取られたくない……絶対、どんな手を使っても勝ってやる)