ここはカロムの屋敷にある厨房。私はメーメルとマリリサと、お菓子を食べお茶を飲みながら話をしていた。

 「ねぇ、カロム様ってどういう人?」

 そう私が問うとマリリサは小首を傾げる。

 「……ルイはカロム様のことを良く知らないで、ここのメイドをしようと思ったの?」

 「えっと……うん、メイドの仕事自体初めてだし。偶々ギルドでみつけて、やってみたいなぁって。それにメーメルも、この仕事をするって言ったから」

 「なるほど……ルイは、ただ興味があったからかぁ。そうね……カロム様は、ちょっと変わったところがあるけど……凄く優しいお方ですよ」

 そう言いマリリサは、ニコッと笑った。

 「そうなのか。やはり噂の通り……これなら、安心して働けるな」

 メーメルはそう言いながら私の方に視線を向ける。

 「そ、そうだね。良かったぁ……実は、少し不安だったんだ」

 「クスッ、そうだったのね。そういえば、ルイって可愛いからモテるんじゃない?」

 そうマリリサに言われ私は、思いっきり首を横に振った。

 「イヤイヤッ!? ナイナイ……。今までモテたって記憶がないくらい……ないよ。好きな人は……いるけどね」

 「えっ!? どんな人? ねぇ、聞かせて聞かせて……」

 マリリサは身を乗り出しそう聞いてくる。

 「あ~えっと……凄く強くてかっこいい。だけど……ね……」

 「その様子だと……告白してないようね」

 「うん、自信がない。それに……今の関係を壊したくないから」

 そう言い私は、グレイのことを思い浮かべた。

 「という事は……友達?」

 「ううん、友達というか。色々アドバイスをくれる師匠かなぁ……」

 「なるほどねぇ。そうなると年上……それで、余計に告れない訳かぁ」

 マリリサにそう言われ私は頷く。そのあとメーメルの方へ視線を向ける。

 「……それとね。今凄く迷ってるの。思ってもいなかった人に、告白された」

 私がそう言うとメーメルの反応は、分かるかどうかぐらいに目を閉じ頷いた。


 やっぱり……メーメルは、知ってるの? でも、なんで……メーメルの考えてることが分からない。ムドルさんのこと、メーメルも好きなはずなのに……。


 そう私は思い悩んだ。

 「告白された、って!! 別の人に? で、どんな人! 返事は、ちゃんとしたのかな?」

 「まだちゃんとしてない。それにその人ね……私が、誰を好きなのかも知ってる。それだけじゃなくて、友達の思い人だし……」

 「それで、まだちゃんと返事できてない訳か」

 そう言いメーメルは、ジト目で私をみる。

 「メーメル……う、うん……そうだね」

 私は真面にメーメルの顔をみれなくなった。

 「ルイ、友達思いもいいが。自分の気持ちは、どうなのだ?」

 「えっと……どうなのか分からない。好きかと聞かれたら、好きだと思う。でも、あの人に抱く好きじゃないから……。それに……どうしていいか分からないんだよね」

 「そうなのね。メーメルは、ルイの思い人と告白した人のこと……知ってるの?」

 それを聞きメーメルは頷く。

 「知ってる。どっちも強くて、優しい。……ルイも、優しすぎる。だから、選べないのだな」

 「それは……そうなのかなぁ。自分でも分からない。ごめん……メーメル」

 「なぜ謝る? ルイは、自分の気持ちに素直になった方がいい」

 そうメーメルに言われ私は、そのあと何も言えなくなる。

 「まぁ……そうね。そうそう、違う話をしましょうか」

 そしてその後も、三人で色々と話していたのだった。