グレイフェズとベルべスク、カロムとムドルに分かれ互いに作戦を話し合った。

 その後、両チームごとに話し合いが終える。

 そしてそれぞれ、闘技場のような部屋の中央へと向かった。

 「ベルべスク、カロムを殺さない程度に頼むぞ」

 「なるべくそうする。グレイフェズ……ムドルも馬鹿じゃねぇ。ある程度、手を抜くとは思うんだが。偶にキレるとたちが悪い。それに、何を考えてるか分からん時がある」

 「なるほどな。まぁ……やるだけのことをするだけだ」

 そう言いながらグレイフェズはムドルを見据える。

 そして二人は話しながら、ゆっくりカロムとムドルがいる中央へと歩みを進めた。


 一方カロムとムドルは、すでに闘技場のような部屋の中央に来ている。

 「ムドル、浮遊魔鉱石を……守りぬけ! 絶対、手を抜くなよ。これは、試験だ。それに、働き次第では処遇も変わる」

 「処遇か……いいことを聞いた。承知……まぁ、グレイフェズ相手にどこまで護り通せるかだがな」

 そう言いながらムドルは、グレイフェズを見据えた。

 「グレイフェズは、それほどまでに強いのか?」

 「強いのか、か……その通りだ。互いに戦ったことがないから、断言はできない。そうだな……オレと互角か、若干上回るかだろうな」

 「なるほど……それは面白いですね。じゃあ、存分に楽しみましょうか」

 それを聞きムドルは、ニヤリと笑い頷く。


 そうこう話をしているとグレイフェズとベルべスクが、二人のそばまできた。

 「待たせたな」

 「グレイフェズ。いえ、問題ありません。では、開始の合図となる物を設置します。その間、各陣営の護りの者は配置についてください」

 そうカロムに言われ三人は頷いた。その後ムドルとベルべスクは、各陣営の浮遊魔鉱石へ向かう。

 それを確認するとカロムは、錬金術で造った小さな花火のような筒を床の中央に設置する。

 その後カロムは、詠唱するとその筒から出ている紐に火を点けた。


 ――どうみても、花火そのものだ。それも家庭用の……――


 それをグレイフェズは、ジーッとみている。

 (これが、開始合図? どういう仕掛けになっている……気になるな)

 そう思考を巡らせた。

 「さて、準備はできました。音が鳴り響いたら、試験開始となります」

 それを聞きグレイフェズは、頷き長剣を持ち身構える。

 そうこうしていると紐に点いた火は、筒へと向かい点火した。


 ――ドッカ~ン……――


 途轍もない音が辺りに鳴り響く。それと同時に、その筒から火花が放たれた。それは、すぐに消える。

 それを聞きグレイフェズとカロムは、即座に動き互いに目もくれず敵陣営へと向かい駆け出した。


 一方ムドルとベルベスクは、その音を聞き耳を塞いだ。

 そしてムドルとベルベスクは、ブルッと頭を振る。その後ムドルはグレイフェズを、ベルベスクがカロムを互いに睨みつけていたのだった。