カロムはティハイドの指示通り、闘技場のような部屋の中にフィールドを造り始めた。

 それを不思議に思いながらグレイフェズはみている。

 (何を始めようとしてるんだ? 相当、大掛かりな仕掛けみたいだが)

 そう思いながらカロムの動きを目で追った。


 一方カロムはバスケットボールぐらいの大きさのオレンジ色の鉱石を、魔法を使いながら両壁際付近に設置する。

 それは、浮遊魔鉱石と言う。だが実際は、ここまで大きくはない。それに魔力で浮くのだが、長時間は無理だ。

 ただこの浮遊魔鉱石は、錬金術によりこの大きさに加工されている。それと魔力を注げば長時間浮くことができるのだ。

 その浮遊魔鉱石を魔力を注ぎ宙に浮かせ、三個ずつ両壁際付近に設置していった。

 設置を終えるとカロムはグレイフェズが待つ中央へ向かう。

 グレイフェズはその光景をみて、更に何をしようとしているのか理解できずにいる。

 (終わったみたいだが……何をさせる気だ? 明らかにムドルとベルべスクとは、試験内容が違うよな)

 そうこう思考を巡らせていると、カロムがグレイフェズのそばまできた。

 「さて、設置が終えましたので……試験の内容を説明したいと思います」

 そう言いカロムは試験の内容を説明し始める。

 「ルールは簡単です。自分の陣地に設置されている浮遊魔鉱石が、全て破壊されたら負けとなる」

 「なるほど……俺だけ実力をみるって訳か」

 「ええ、あの二人もでしたが……強いと判断しましたので。それにティハイド様が実力をみたいとのこと」

 そうカロムに言われグレイフェズは、ティハイドの方をみた。その後、すぐカロムの方に視線を向ける。

 「そういう事か。それで、攻撃方法はどうするんだ?」

 「何でも構いませんよ……一番得意なものでも、複数もちいての攻撃も可能です」

 「それだと簡単に決まるんじゃないのか?」

 そうグレイフェズが聞くとカロムは、不敵な笑みを浮かべた。

 「フッ、そうですね。確かに、私かグレイフェズのどちらかが……一瞬で魔鉱石を破壊してはつまらない」

 そう言いながらムドルとベルべスクが居る方をみる。

 「では、あの二人にも手伝ってもらいましょう」

 「ムドルとベルべスクに、って……」

 「ええ、お互いの浮遊魔鉱石を守って頂きます」

 それを聞きグレイフェズは不安になった。

 (……ってことは、ベルべスクかムドルと対戦するかもしれない。大丈夫だとは思うが……)

 グレイフェズはどっちがカロムの陣地についたとしても勝てる気がせず……。

 (恐らく手は抜かないだろう……特にムドルはな。それにカロムは、二人に手を抜くなと釘を刺す)

 そう思い自分の言ったことに対し後悔していた。

 「……そういう事か……それでいい」

 「では、二人を呼んで来ます」

 そう言いカロムはムドルとベルべスクが居る部屋の方に向かい歩き出す。

 それをみながらグレイフェズは、色々と思考を巡らせた。


 そんな中ムドルとベルべスクは、二人の会話が聞こえていたため真剣な表情で考え込んでいる。

 (まさか……こんな所でバトルをする破目になるとは、恨みますよグレイ。いえ、ちょっと待ってください! これは……カロムの陣地の守りにつけば……。
 そうですね、グレイと一戦交えるチャンスかもしれません。一度は対戦してみたいと思っていましたので……)

 そう思いながらムドルは、グレイフェズの方へと視線を向け笑みを浮かべた。

 (おい、どうすんだよ。オレは、知らんぞ……どうなっても)

 ベルべスクはそう思い、ジト目でグレイフェズの方をみる。

 そして二人は、何も聞いていないフリをしながらカロムがくるのを待っていたのだった。