ここは闘技場のような場所がみえる部屋。そしてそこには、ティハイドが居る。

 ティハイドは窓越しから試験の様子をみていた。

 「面白い! ベルべスクに続いて、ムドルもクリアーか。さてグレイフェズは、どうなる……楽しみだ」

 そう言い口角をあげ笑みを浮かべる。

 (だがこのままだと、恐らくグレイフェズも容易くカロムを負かすだろう。それならば、実力を試すのも面白いかもしれんな)

 そう考えながらカロムの方へと視線を向けた。



 ――場所は移り、闘技場のような部屋がみえるグレイフェズ達が居る部屋である――


 部屋の中にムドルが入ってきた。

 「ムドル、どうだった?」

 「どうって……みての通り、まだ耳が変だ」

 「いや、そういう事じゃない……あのカロムのことだ」

 そうグレイフェズに言われムドルは、窓越しからカロムの方に視線を向ける。

 「ああ、そのことか。何を考えているか分からない。カロムのことは、分からないが……。
 この試験、わざと得意じゃないと思われるものを指定してくる」

 「なるほど……じゃあ、俺はなんだろうな。あの紹介状には、剣術と体術に炎系の魔法って書いたが」

 「そうだな。何を指定してくるか予測ができない」

 ムドルがそう言うとグレイフェズは頷いた。

 「ああ、でもなんで……わざわざ不得意なもので試験をする必要があるんだ?」

 「さぁ……なぜでしょうか。オレには分からない。……それよりも、なんでベルべスクがここで伸びてる?」

 そう言いムドルは、ベルべスクの方に視線を向ける。

 「さっき耳が痛い、うるさい、頭が変になる、って言い……最後に泡を吹いてぶっ倒れた」

 「そういう事か……耳がいいからな、オレもだが。あの魔弾銃は、かなりの音がする。それに重い、隙をついて撃つには適さないだろう」

 「そうか……。さて、そろそろ行かないとな」

 そうグレイフェズは言い、闘技場のような場所の中央に立っているカロムを見据えた。

 「オレは、ベルべスクをアイテムで回復しとく」

 「そうだな……いつまでも、そのままじゃまずいだろう」

 グレイフェズがそう言うと、ムドルは笑みを浮かべ頷く。

 その後グレイフェズは、部屋を出てカロムが待つ中央へと向かう。

 それを確認するとムドルは、バッグからアイテムを取り出しベルべスクの回復をした。



 ――場面は、闘技場のような部屋の中央に変わる――


 カロムはグレイフェズ達が居る部屋をみていた。

 (さて、次はグレイフェズか。紹介状に書かれていた得意なものは、剣に体術と炎属性の魔法だったな。……そうなると、頭脳戦の方がいいか?
 いや、得意と書いていないだけかもしれない。だとしても……どうする? 敢えて、なんでもありのバトルで……。
 でも、それだと試験の意味がない。得意なことができるのは当たり前だ。そうなると……)

 そうこう考えてるとカロムの腕輪が光る。

 それに気づきカロムは腕輪の魔石に手を添えた。

 すると魔法陣が展開されそこからティハイドの声が聞こえてくる。

 “……カロム、恐らくグレイフェズは強いだろう。あの二人もだがな”

 「ティハイド様、ではどうしましょうか?」

 “そうだな……どこまでやれるかをみてみるか。アレをセットしろ!”

 そう言われカロムはティハイドの居る部屋の方に視線を向ける。

 「……分かりました。そうしたいと思います」

 そう言いカロムは不敵な笑みを浮かべた。

 その後、ティハイドとの通信が切れる。

 「さて、グレイフェズがくる前にフィールドを造っておきますか」

 そう言うとカロムは、部屋から出て自分の方に向かってくるグレイフェズの方を向いた。

 「……来ましたね。これは、急ぎませんと」

 カロムはそう言い、急ぎ道具置き場に向かう。

 その後カロムは、フィールドを造るための道具を取ってくると設置し始める。

 そして中央へと向かっていたグレイフェズは、カロムが何をしているのかと思いみていたのだった。