ここは闘技場のような場所がみえるグレイフェズ達が居る部屋。

 部屋の中にベルべスクが入ってくる。

 「思ったほどじゃなかった。だが次、どんな方法を指定してくるか分からねぇ。ムドル、気をつけろよ!」

 そう言いムドルの肩を、ポンと叩いた。

 「フッ、問題ない。それよりも、もう少し手を抜いても良かったと思うんだが」

 「……。アレでも、手を抜いてた方だぞ」

 「なるほど……それだけ、あのカロムが強いって訳か」

 そうグレイフェズが言うとベルべスクは頷く。

 「じゃあ、行ってくるか」

 そう言いムドルは部屋を出て闘技場のような場所へと向かう。

 それを二人は目で追った。



 ――場所は、カロムの屋敷へと移る――


 ここは厨房だ。私とメーメルは、マリリサの案内でここに来ていた。

 あれから色々と仕事内容を聞きながら屋敷の中を案内してもらう。

 そして最後に、ここに来たのだ。その後、料理長のケイルズさんに挨拶をする。


 現在……私たちは、なぜかテーブルを囲み椅子に座っていた。

 そうケイルズさんが作ったお菓子を食べながら、ハーブティーのようなお茶を飲み話をしている。

 「えっと……こんな所で、お茶なんかしてて大丈夫なんですか?」

 「ルイ、心配ないわよ。仕事さえ終えれば、何していてもね」

 「そうなんだね。だけど、もっと大変な仕事だと思ってた」

 私がそう言うとマリリサは、クスッと微笑む。

 「そうね。多分、この屋敷だけだと思うわ。私の知り合いも、他の屋敷でメイドやってるけど……大変だって言ってるし」

 「そうなのか。確かに、アタシの知り合いも大変だって言っていた」

 「メーメルの知り合いも、メイドの仕事しているの?」

 そう言われメーメルは首を横に振る。

 「メイドじゃない。男だから執事だな」

 「そっかぁ。って、その知り合いって彼氏?」

 マリリサは身を乗り出しそう問いかけた。

 「いや、違うな。ただの幼馴染なのだ。それにアイツは、好きな女がいる」

 そう言いメーメルは、つらそうな表情で俯く。


 メーメル……やっぱり、まだムドルさんのこと好きなんだね。それに多分、ムドルさんの好きな相手が私だって知ってる。
 だけど……私は、何も声をかけてあげられない。それに告白されたことも言えてないし……。凄く気まずい……どうしよう。


 そうこう思考を巡らせる。

 「そうなのね。でもその様子じゃ、メーメルは好きなんでしょ?」

 「うん、でも……いい。今の関係を壊したくないからな」

 「メーメル……」

 私は何か言おうとするも、声にならなかった。なぜか涙が出てくる。

 「ルイ、問題ない……気にするな」

 そうメーメルは、私を慰めてくれた。


 ……気にするな、って……どういう事? もしかして、何もかも知ってるの……。だったら、どうして……。……分からない。


 そう思い私は、不思議に思いながらメーメルをみる。

 そしてその後も、私たちは色々と話していたのだった。