ここはティハイドの屋敷の地下にある闘技場のような施設。その場所がみえる部屋の窓越しにティハイドはいた。

 「ベルべスクが最初か。魔導師と聞いているが……恐らく、それだけじゃないだろう」

 そう言いながらカロムの方へ視線を向ける。

 「素手か……カロム、見誤ったな。多分、ベルべスクのあの様子を見る限り……格闘の方も得意なのかもしれん」

 そうこう考えながら二人の様子を伺っていた。



 ――場所は、闘技場のような部屋の中央に移る――


 ベルべスクとカロムは身構え睨み合う。

 (……隙が……ない。普通の魔導師ではないのか?)

 そう思いカロムはベルべスクの隙を探す。

 (ほう、思ったよりも……戦いなれてるようだな。恐らく、少しでも隙をみせりゃ……攻撃を仕掛けてくる。だが、このままじゃ日が暮れちまう。さて、どうする……)

 そう思考を巡らせながらカロムとの間合いをとる。

 (どうする? 俺がわざと動くか……それともこのまま、いや待つはないな)

 そう考えるとカロムは、外側に右足を滑らせるように動かした。

 それをみたベルべスクは一瞬、動こうとする。だが、動くのをやめた。

 (……フェイクか。オレが動くのを待っている……ってことは、仕方ねぇ……仕掛けるしかねぇな)

 そう考えがまとまるとベルべスクはカロムを見据える。と同時にカロムへと突進した。

 それをみたカロムは、右横に跳び避ける。その後、即座にベルべスクの背後を取り腕を掴もうとした。

 「う、まさか!?」

 そうカロムは叫んだ。

 それを予測しベルべスクは、カロムの方を向き後ろに跳ぶ。

 カロムは体勢を崩し顔から地面に落下する。

 それを確認するとベルべスクは、即座にカロムのそばまできた。そして、すかさずカロムの背中にまたがり両腕を掴み押さえ込んだ。

 「これでお終いか?」

 そうベルべスクが言うとカロムは、悔しそうな表情で頷いた。

 「クッ、まぁいいでしょう。合格とします」

 それを聞きベルベスクは、カロムから離れる。

 カロムはよろけながら立ち上がりベルべスクをみた。と同時にカロムの鼻から血が一滴、落ちる。

 「……。大丈夫か?」

 そうベルべスクが問うとカロムは、不機嫌な表情になった。

 「ええ、問題ない。次の方の試験を行いますので……」

 そう言いカロムはグレイフェズ達が居る部屋を指差す。

 「ならよかった。じゃあ、ムドルと交代だな」

 そう言いベルべスクは、グレイフェズ達が居る部屋に向かう。

 (まさか……ここまで動けて、予測まで……)

 そう思いながらカロムは、ベルべスクの背中を見据える。

 (予想に反して収穫かもしれない。あとの二人も、恐らく上位の冒険者? そうなると……油断は禁物だな)

 そう考えグレイフェズとムドルをみた。