ここはアクロマスグの町の北東側。

 私はメーメルとカロムの屋敷に向かうため街路を歩いていた。

 それと私の肩の上には、トラットが乗っている。

 因みにカロムの屋敷は、この町の北東側だ。


 あれから翌日になり私は、グレイ達より先にギルドに向かう。

 そしてメイドの依頼をマスターから受理してもらった。

 その後、グレイとムドルさんとメーメルとベルべスクがギルドにくる。

 それとキルリアは、ムドルさんの影に隠れているらしい。

 私は四人の依頼を受理した。


 因みに、なんでムドルさんとメーメルとベルべスクが依頼を受けられるのかというと……。

 タルキニアの町のギルドのマスター(ドルバドスさん)が、紹介状を書いてくれたからだ。

 その紹介状には――魔族であっても人間に危害を加える者ではない――……。そう書かれている。

 それなのでその紹介状をみせれば、どこのギルドでも依頼を受けられるようにしてくれた。


 それから私たちは、ギルドマスターに挨拶したあと依頼人であるカロムの屋敷に向かう。

 グレイ達は、あとからくるらしい。一緒だと勘づかれる可能性があるからだ。

 因みにギルドの受付は、私を含めて三人いる。それなので、私が冒険者として依頼を受けても大丈夫なのだ。


 そして現在、私とメーメルはカロムの屋敷の近くまで来ていた。

 「ねぇ、メーメル。あと少しで着くね。なんかドキドキしてる」

 「うむ、そうじゃな。妾もじゃ。話し方を変えねばのう」

 「大変だなぁ。流石に素性がバレると、色々まずいしね」

 そう私が言うとメーメルは頷く。

 「そのため性を、ラニアムに変えたのじゃ。それよりも、トラットを連れて来て大丈夫なのかのう?」

 「どうだろう? でも、しばらく家を留守にするからね」

 「ふぁ~……そういう事だ。……ってことで寝る。落とすなよ!!」

 そう言いトラットは、私の肩の上で寝てしまった。

 「……。落とすな、って言われても……。そもそも、私の肩の上で寝ないで欲しいんだけどなぁ」

 「聞いてないようじゃな」

 「そうだね。まぁ、門の前で抱っこするかぁ」

 そうこう話をしながらカロムの屋敷に向かう。



 ――場所は移り、アクロマスグの町の冒険者ギルドの外側――


 冒険者ギルドの建物と他の建物の間……路地裏に、グレイフェズとムドルとベルべスクがいた。

 「これから、カロムの屋敷に向かう。だが、まだ時間がある」

 「そうですね。では……これからの行動を再確認しましょう」

 「そうだな。オレもその方がいいと思う」

 そうベルべスクが言うと二人は頷く。

 「まずは、カロムの屋敷に行く。聞かれたら……」

 「私たちは、パーティーを組んでいる仲間……と言えばいいんでしたね」

 「それと……聞かれたこと以外は話さない、だったな」

 ムドルとベルべスクがそう言うとグレイフェズは頷いた。

 「そういう事だ。あとは、カロムに言われた通りにする。そのあと……恐らく、ティハイドの屋敷に向かうことになるだろう。そこでも同じだ」

 「分かりました。勘づかれるとまずいですしね」

 「ああ、それと……。そのあとの行動は――」

 そうグレイフェズが言いムドルとベルべスクは、その説明を聞いている。

 そして三人は、再確認を済ませるとカロムの屋敷へと向かったのだった。