ここはアクロマスグの民家が並ぶ住宅街。日が沈み暗くなっている。

 私はこの町の自分の家の居間にいた。と言っても、メーメルと一緒に住んでいる。勿論、トラットも一緒だ。

 家は、それほど大きくない。だけど、メーメルと二人で住むには丁度いい広さだ。

 一応、部屋は三ヶ所ある。二ヶ所を分け寝室にし、残りの一箇所は居間として使うことにした。

 なぜこの町に自分の家を購入したのかと言うと。それは、この町のことを調べるため長期滞在になる可能性があるからだ。

 それなので、私とメーメルの住まい……それとグレイとムドルさんとベルべスクの家を購入した。

 因みにグレイ達の住まいは、この家の隣だ。


 現在……私は、グレイとムドルさんとメーメルとベルべスクとテーブルを囲み話をしている。

 ムドルさんの脇には、キルリアが居て大人しくしていた。それとトラットは、無造作に置かれたフカフカの布の上で気持ちよさそうに寝ている。

 「――ムドルとベルべスクと今日まで町を調べ歩いた結果。思っていたよりも、ティハイドの悪い噂は聞けなかった」

 「そうですね。どちらかといえば、良い噂ばかり。言わされているようにもみえませんでしたし」

 「ムドル、そうだな。オレも、何かねぇかと探したが。誰一人として、悪口を言うヤツはいなかった」

 そうベルべスクが言うと私たちは、どういう事なのかと頭を抱え悩んだ。

 「そういえば、ティハイドの配下にカロムとかいうヤツがいたな」

 「グレイ。私が聞いた噂では、誠実で優しい人物だとか」

 「んー、本当にカロムって言う人。ムドルさんが聞いてきたような人なのかな?」

 そう私が言うとグレイ達は首を傾げる。

 「どういう事だ? カロムについて何か聞いてるのか」

 「グレイ。聞いてるというか……ギルドで、こんな依頼書をみかけたんだけど」

 「依頼書……どんなのなんだ?」

 そうグレイに問われ私は、コッソリ紙に書いてきた二枚のメモをグレイ達にみせた。

 「……おい、この依頼……」

 そう言いグレイは青ざめる。

 「うむ、可愛いメイドの募集じゃな。それも、年齢が十八までと書いてあるのじゃ」

 「二枚目には、護衛ができる者の募集ですね。それも、強い者と書かれています」

 「……どっちも、カロムの依頼みてぇだな」

 そうベルべスクに言われ私は頷いた。

 「ルイ、なんでこれに気づいた?」

 「えっと……グレイ、何か私にもできる仕事ないかと探してたら……これをみつけた。それにギルドで、カロムって言う人がティハイドの幹部だって聞いてたし」

 「そういう事ですか。それで……たまたまみつけた依頼書の内容を、紙に書き記したってことですね」

 ムドルさんにそう言われ私は、コクリと頷いた。

 「護衛の方は、ティハイドのみたいだな。メイドの方は……カロムか。こっちは、コイツの趣味か?」

 「グレイフェズ。これは、内部から調べるのに……好都合だな」

 そうベルべスクに言われグレイは考えたあと頷く。

 「そうだな。この依頼、まだ募集してるよな?」

 「うん、グレイ……多分ね。今日、依頼されたものらしいから」

 「それなら、私たちでこの依頼を受けましょう」

 そう言いムドルさんは、私たちを順にみる。

 「それがいい。割り振りは、言うまでもないな」

 「そうですね。男女に振り分けるだけです」

 「そういう事だ。じゃあ明日、ギルドに行く」

 そうグレイが言うと私たちは、コクリと頷いた。

 その後、明日のことを話し合ったあと解散する。

 そして私は、メーメルと話をしたあと眠りについた。