式典が終わりその翌日――私は、グレイとムドルさんとメーメルとベルべスクと共にセシアズム草原にいた。勿論、トラットとキルリアも一緒だ。

 あれから翌日になり私たちは、タルキニアの町に向かうため支度をする。その後、バールドア城を出た。

 そして現在、私は空を見上げ考えながら歩き進む。


 結局、清美と会えなかった。どうしたのかな? ただ私に会わせたくなかっただけなの? そうだとしたら……。余計に心配だよ。


 そう思っていたら涙が出てきた。

 「ルイ、どうしたんだ?」

 「ルイさん、何かありましたか?」

 「あ、グレイ、ムドルさん。ううん、なんでもないよ。ちょっと、目にゴミが入ったみたい」

 そう言い手で涙を拭う。すると両脇からハンカチが……グレイとムドルさんだ。

 「大丈夫か?」

 そう言われ私はグレイからハンカチを受け取る。

 「ゴミですか。痛そうですね」

 ムドルさんはハンカチで私の眼もとの涙を拭った。

 「あー、えっと……グレイにムドルさんありがとう。多分大丈夫だと思う」

 「それなら、心配なさそうだな」

 そう言いながらグレイは、ムッとした表情でムドルさんをみる。

 「それは、良かったです」

 ムドルさんは、なぜか勝ち誇った顔をしていた。

 二人共、どうしたんだろう? っと私は思う。

 チラッとメーメルとベルべスクをみる。

 なぜか二人共に、ジト目で私の方をみていた。

 その間、トラットとキルリアは何か言い合いをしてる。

 「この辺で、いいでしょうか?」

 「ムドル、そうだな。かなり、城から離れた」

 そうグレイが言うとムドルさんは頷いた。

 「そうじゃな。それで、誰が転移の魔法を使うのじゃ?」

 そうメーメルが言うとグレイとムドルさんは、同時にベルべスクを指差す。

 「……おい!? なんで、オレなんだ!」

 「別に、構いませんが。但し……ベルべスクだけ、ここに置いて行ってもいいのですよ」

 「……。あー、分かったよ。やりゃあ、いいんだろう!」

 そう言い不貞腐れながらもベルべスクは、両手を目の前に翳し魔族語で詠唱する。

 すると魔法陣が展開していった。そこから黒い光が放たれベルべスクを覆い包んだ。

 その黒い光が消えると魔族の姿へと変わる。

 「場所は、タータム草原でいいんだよな?」

 「ああ、そうだ。流石に魔族の姿のお前が、町のど真ん中に現れたら驚くだろうからな」

 そうグレイが言うとベルべスクは、笑みを浮かべ頷いた。

 「じゃあ、行くぞ!!」

 そうベルべスクが言うと私たちはそばに近寄る。

 それを確認するとベルべスクは、魔族語で唱え始めた。

 《大地の精(ガヒインレヒ) 現の地と(デノンイロ)別の地(ゼルンイ) 異空の(ヒムフマノン)狭間(アバカ) その扉を(ヨンロジタス)開き(シタミ) 我と(ナネロ)彼の者(マンコン) (ナネ)思う場所へ(ホコフザヒョセ)転移(エノヒ)されたし!!(ヤネラミ)

 そう言いながらタータム草原を思い浮かべる。

 すると私たちの真下に、大きな魔法陣が展開されていく。

 そして私たちは、その後タータム草原に転移したのだった。