翌日になり私は、二階の広間にいた。

 そう今日は、私たちのために行われる式典だ。

 私は慣れないドレスを着ているせいか落ち着かない。

 少し離れた場所にグレイがいる。なんか私の方をチラチラみているみたいだけど、時々変顔をしていて笑いそうになった。


 ドキドキする。これから行われる式典は、厄災から救った私たちのために……。嬉しいけど、なんか落ち着かない。


 そう思いながら周囲を見回す。


 やっぱり清美の姿がみえない。カイルディさんや従者さんに聞いたけど、何も分からなかった。どうしてだろう?
 まさか、清美の身に何かあったのかな。そうだったら……どうしよう。もっとちゃんと聞けばよかったかなぁ。


 そうこう考えながら式が始まるのを待った。



 ――視点は、グレイフェズへ移る――


 グレイフェズは、いつもとは違う式典用の貴族らしい青と白の正装をしていた。

 慣れないらしく、ソワソワし落ち着きがない。時折、泪の方をみている。

 (……可愛い……いや、天使……その表現も違う。女神と言った方がいいか。それにしてもピンク系の方が似合うと思っていたが、水色のドレスもアリだな)

 そうこう思いながら百面相をしていた。――……って、グレイフェズは何を考えているんだか……――

 (そういえば……カイルディ様が、聖女であるキヨミ様は城を抜け出した……って言ってたな。それも、よりにもよってサクリスとか。……何もなきゃいいがな。
 みつけ次第、連絡しろか。ただ……このことは、ルイに話すなって言われた。知られないように気をつけないと、大丈夫だとは思うが)

 そう考え泪に視線を向ける。

 するとグレイフェズは泪と目が合う。そしてお互い顔を赤らめた。



 ――場所は、広間の壁際へと変わる――


 泪とグレイフェズの後ろの壁際には、人間に化けたムドルとメーメルとベルべスクがいた。

 三人ともに正装をしている。

 ムドルが紫、ベルべスクは灰色の貴族っぽい正装だ。そしてメーメルは、オレンジ色のドレスを着ている。

 「……そろそろ、始まりますね」

 「そうだな。だが、みているだけって言っても……こういう場所は苦手だ」

 「そうじゃな。妾も、こういう場は苦手なのじゃ」

 そうこう話しながら三人は、ただ何もせずその場で待機していた。


 ――そして……式典が始まる。


 泪とグレイフェズは、国王カイゼルの前に立った。その後カイゼルは、二人に感謝の言葉を伝える。

 そして、それぞれ別の勲章をもらう。それをプレートに乗せた。するとプレートに吸い込まれる。互いのプレートの名前の後ろに勲章のマークが印された。

 因みに泪が金色の勲章のバッジで、グレイフェズは銀色だ。功績の度合いで、色が違うらしい。勿論、金色の勲章の方が高い功績を上げた証明となる。

 それとこの時グレイフェズは、ムドル達の分もみえないように銀色の勲章をもらっていた。

 その後、泪とグレイフェズは二階から皆の前に姿をみせる。そしてグレイフェズが代表で皆に述べた。

 泪はカイルディ様の指示で、みえるかどうかの位置で広場を見渡している。

 なぜそうしたのか。これから泪たちが、アクロマスグでやろうとしている事の妨げになるかもしれないからだ。

 そう泪の顔を知られないためである。どこで誰がみているか分からない。この状況下で、これが得策と思ったからだ。

 その後、泪とグレイフェズは大広間のパーティー会場へ移る。ムドル達もあとを追った。

 そして泪たちは、時間いっぱいまでパーティー会場にいる。その時の泪の衣装は、ピンクの可愛いドレスだ。

 そう途中で着替えたのである。

 その後、泪たちはパーティーを楽しんだのであった。