ここは私のために用意してくれた部屋らしい。だけど……クローゼットには、清美の服が……どういう事だろう?
 そう言えば清美、どこにいるのかな? 聞けばよかったかなぁ。でもそんな雰囲気でもなかったし……。
 だけど、そもそもなんでここに清美の服があるの?


 そうこう不思議に思いながら私は、クローゼットから離れソファーに腰かける。

 「あとで聞いてみよぉ~っと」

 そう言いながらソファーの背もたれに寄りかかった。


 そう言えば、グレイだけ執務室に残されたみたいだけど……なんでだろう。カイルディさんは、グレイになんの用が……。


 そう思考を巡らせる。

 「……まぁ、考えても仕方ないかぁ。私たちに知られたらまずいような、大事な話なのかもしれないし」

 私はそう言い瞼を閉じた。


 それより明日は、私たちのための式典があるって言ってたなぁ……。代表で私とグレイが、って言ってた。
 流石に魔族のムドルさんやメーメルとベルベスクが、式に出るのはまずいしね。


 そう思い色々考えていたら急に眠くなり寝てしまう。



 ――場所は、バールドア城のカイルディの書斎へ移る――


 現在ここには、カイルディとクレファスとレグノスが居て話をしていた。


 あれからカイルディは、国王カイゼルと大臣のクベイルに泪たちから聞いた話を伝える。その後、色々な指示と許可をもらった。

 そして指示を出すため、自分の書斎にクレファスとレグノスを呼んだのだ。


 クレファスとレグノスは、カイルディと向かい合い言い合いをしている。

 「待ってください。俺とレグノスで、グレイの居た村に向かえと? 城の警備は、どうするのですか!」

 「クレファスの言う通りです。隊の指揮をする者が居なくなってしまう」

 「そのことなら、なんとか補っておきます。これは、重要な任務。そのため信用でき、何があるか分かりませんので強者でなくては務まりません」

 そう言われ二人は、思い悩む。

 (確かに、この任務は重要かつ難しいだろう。それを、この俺にやれと言っておられる。それならば……)

 そう思いクレファスは口を開いた。

 「分かりました。この任務、喜んで受けたいと思います」

 それを聞きカイルディは喜び微笑む。

 「クレファス、お願いしますよ。それで、レグノスはまだ悩んでいるのですか?」

 「はい。先に指示を受けた聖女さまを追う件は、どうするのかと考えていました」

 「それも兼任でお願いするつもりでいました。そもそも、どこに向かわれたかも分かりませんので」

 そう言いながらカイルディは、窓の方を向き遠くをみつめた。

 「確かに、その方が効率はいいですね。旅先で偶然、出逢えるかもしれませんし」

 「レグノス、そういう事です」

 「それならばこの任務……クレファスと共に、喜んでお受けいたします」

 そう言われカイルディは軽く頷く。

 「では、二人共お願いしますね」

 二人はそう言われ頷いた。その後、一礼をし宿舎の方へと向かう。

 それを確認するとカイルディは、ソファーの背もたれに寄りかかる。

 そしてその後、色々と思考を巡らせていたのだった。