ここはパールドア城の執務室。ここにはグレイフェズとカイルディがいた。
そう、あれからカイルディに言われグレイフェズだけがここに残る。
「グレイ、ルイ様のことなのですが……あれから何か分かりましたか?」
「詳しくは、まだ分かりません。ですが、ルイにも紋章がありました」
「紋章……それは、どのような印なのでしょう?」
そう聞かれグレイフェズは、泪の紋章の特徴について説明した。
「――という事なのですが、どう思われますか?」
「竜の下に交差した二本の剣が下向き、その下に盾が描かれている。……神と言うよりは、どちらかと言えば龍神と関係しているように思えます」
「龍神? ……それは、どういう事ですか。それに……龍神が、召喚に干渉できるとも思えません」
そう問われカイルディは、瞼を閉じ考え始める。
(確かに、グレイの言う通りです。ですが、どうしても龍神が関与しているように思えてなりません)
そう考えると瞼を開いた。
「グレイ。そういえば、村で起きた厄災の時。助かったのですよね。それも、龍神によりタータム草原に転移させられて」
「龍神かどうかは分かりません。あくまでも、憶測にすぎないので」
「ですが……その可能性が高い。そうだと仮定すると……偶然と思われていたことが、全て必然になります」
そう言われグレイフェズは、思い起こす。
「確かに……なんで今なのか。ムドルと出会ったことも、それだけじゃない。俺がこの城にこなければ、ルイとも出逢えてなかった」
「もしそれらが、仕組まれていたことだとしたら?」
「どういう事ですか? まさか龍神が……いや、そもそもそんな力はないはず」
カイルディはそう言われ頷いた。
「ええ、龍神には無理でしょう。ですが、神と龍神が申し合わせて行ったとすれば?」
「……それなら、恐らく可能。だけど、なんのために?」
「それは分かりません。ただ気になるのが……。ムドルの父親のことです。話を聞く限り、色々と無理がありますので」
それを聞きグレイフェズは首を傾げる。
「無理とは、いったい?」
「なぜ魔族の母親と、そういう関係になったのか。それに、なんのために旅を続けていたのでしょう。本当に村に居られなかったのかとも……。他にも色々とありますが……」
「……そうですね。今、ふと思ったのですが。ムドルに兄弟は居なかったのかと」
そう言いグレイフェズは、下を向き考え込んだ。
「ムドルが男子で、何れ勇者の能力に目覚めると思ったからか。もしくは、既にムドルが生まれることを知っていた。それも初代聖女の能力が覚醒することも」
「もし、後者だとしたら。ムドルの父親は、龍神か神と……」
「その可能性は、おおいにあり得ますね。勇者の能力を持つグレイが産まれるこの時代。ムドルは魔族。それ故、大人になるのは遅い」
それを聞きグレイフェズは頷く。
「ですね。しかし、厄災のことは?」
「もし、厄災が周期的に存在したとしたら? それも、過去に勇者が訪れた場所でです」
「……!? そうなるように仕組んだ……勇者が……。ですが、どうやって?」
そう問いかけるとカイルディは、考え口を開いた。
「それは、分かりません。それでも……そう思えるのです」
「確かに、その方が辻褄が合います。ルイのことに関しても、逢うべくして……」
「そうですね。それも踏まえ、アクロマスグに赴く道中……向こうに着いてからも。調査の方をお願いします」
そう言いながらグレイフェズを見据える。
「それと、ルイ様のことも……。見極め裁きを下す者……それが能力だとして。勇者や聖女とは違う存在。それがなんなのかも、気になりますので」
「承知しました。分かり次第、報告いたします」
「頼みましたよ。では、このあと陛下に報告をしなければなりませんので」
そう言いカイルディは、執務室を出ていった。
それを確認するとグレイフェズは、難しい表情になり考え込んだ。
(……考えることが山積みだ。まぁ考えてたって……どのみち、やらなきゃならない)
そう思いながらグレイフェズは、執務室を出て救護室へと向かった。
そう、あれからカイルディに言われグレイフェズだけがここに残る。
「グレイ、ルイ様のことなのですが……あれから何か分かりましたか?」
「詳しくは、まだ分かりません。ですが、ルイにも紋章がありました」
「紋章……それは、どのような印なのでしょう?」
そう聞かれグレイフェズは、泪の紋章の特徴について説明した。
「――という事なのですが、どう思われますか?」
「竜の下に交差した二本の剣が下向き、その下に盾が描かれている。……神と言うよりは、どちらかと言えば龍神と関係しているように思えます」
「龍神? ……それは、どういう事ですか。それに……龍神が、召喚に干渉できるとも思えません」
そう問われカイルディは、瞼を閉じ考え始める。
(確かに、グレイの言う通りです。ですが、どうしても龍神が関与しているように思えてなりません)
そう考えると瞼を開いた。
「グレイ。そういえば、村で起きた厄災の時。助かったのですよね。それも、龍神によりタータム草原に転移させられて」
「龍神かどうかは分かりません。あくまでも、憶測にすぎないので」
「ですが……その可能性が高い。そうだと仮定すると……偶然と思われていたことが、全て必然になります」
そう言われグレイフェズは、思い起こす。
「確かに……なんで今なのか。ムドルと出会ったことも、それだけじゃない。俺がこの城にこなければ、ルイとも出逢えてなかった」
「もしそれらが、仕組まれていたことだとしたら?」
「どういう事ですか? まさか龍神が……いや、そもそもそんな力はないはず」
カイルディはそう言われ頷いた。
「ええ、龍神には無理でしょう。ですが、神と龍神が申し合わせて行ったとすれば?」
「……それなら、恐らく可能。だけど、なんのために?」
「それは分かりません。ただ気になるのが……。ムドルの父親のことです。話を聞く限り、色々と無理がありますので」
それを聞きグレイフェズは首を傾げる。
「無理とは、いったい?」
「なぜ魔族の母親と、そういう関係になったのか。それに、なんのために旅を続けていたのでしょう。本当に村に居られなかったのかとも……。他にも色々とありますが……」
「……そうですね。今、ふと思ったのですが。ムドルに兄弟は居なかったのかと」
そう言いグレイフェズは、下を向き考え込んだ。
「ムドルが男子で、何れ勇者の能力に目覚めると思ったからか。もしくは、既にムドルが生まれることを知っていた。それも初代聖女の能力が覚醒することも」
「もし、後者だとしたら。ムドルの父親は、龍神か神と……」
「その可能性は、おおいにあり得ますね。勇者の能力を持つグレイが産まれるこの時代。ムドルは魔族。それ故、大人になるのは遅い」
それを聞きグレイフェズは頷く。
「ですね。しかし、厄災のことは?」
「もし、厄災が周期的に存在したとしたら? それも、過去に勇者が訪れた場所でです」
「……!? そうなるように仕組んだ……勇者が……。ですが、どうやって?」
そう問いかけるとカイルディは、考え口を開いた。
「それは、分かりません。それでも……そう思えるのです」
「確かに、その方が辻褄が合います。ルイのことに関しても、逢うべくして……」
「そうですね。それも踏まえ、アクロマスグに赴く道中……向こうに着いてからも。調査の方をお願いします」
そう言いながらグレイフェズを見据える。
「それと、ルイ様のことも……。見極め裁きを下す者……それが能力だとして。勇者や聖女とは違う存在。それがなんなのかも、気になりますので」
「承知しました。分かり次第、報告いたします」
「頼みましたよ。では、このあと陛下に報告をしなければなりませんので」
そう言いカイルディは、執務室を出ていった。
それを確認するとグレイフェズは、難しい表情になり考え込んだ。
(……考えることが山積みだ。まぁ考えてたって……どのみち、やらなきゃならない)
そう思いながらグレイフェズは、執務室を出て救護室へと向かった。