ここはバールドア城から南にあるセシアズム草原。城を出てから一日が過ぎていた。

「ギャァァァァァァァァァ――――」

 現在、私はトゲトゲ虫に襲われている。


 トゲトゲ虫とは、ムカデに似ている数メートルあるであろう巨体の魔物だ。体中にトゲがあり、それで攻撃したり体当たりとかもしてくる。


 私はそれと戦っていた。いや、逃げている。

「おい、何をやってる!?」

 悲鳴を聞いたグレイが来てくれた。

「ジェルゼリーを倒してレベルを上げろ、とは言ったが……なんでトゲトゲ虫がお前を襲っている?」

「そんなこと言ったってぇぇぇ――知らないよぉぉぉぉぉ――――」

 私はトゲトゲ虫が飛ばす無数のトゲを回避しながら、やっとの思いでグレイの所までくる。

「タク……仕方ねえな。ルイ、俺から離れてろ!!」

 そう言われ私はトゲトゲ虫のトゲが飛んでこないぐらいの場所まで移動した。

 そこからグレイとトゲトゲ虫の戦闘を眺める。

 グレイはトゲトゲ虫が攻撃を仕掛ける前に剣に炎をまとわせた。すると巨体に目掛け剣を突き刺し斬り上げる。

 炎がトゲトゲ虫を覆う。巨体の半分が切り裂かれる。

 ――グギャァァァーー……。

 トゲトゲ虫の奇声が辺りに響いた。すると弾け消え、魔玉石が地面に落ちる。

 グレイは魔玉石を取りバッグに入れた。

 凄い! 私は目を輝かせる。こんなにもあっさり、あのトゲトゲ虫を倒した。私は攻撃できず逃げるだけでもやっとだったのにだ。

 それに魔法剣。城で読んだ本での知識しかないけど。この世界では、魔法剣を使える者は数少ないらしい。改めてグレイを尊敬の目でみた。

 そうこう考えてると溜息をつきながらグレイが私の方に向かってくる。

「ハァ……何があった? あのトゲトゲ虫は怒らせなきゃ、襲ってこないはずだぞ」

「そ、そうなんだね……」

「まさか、ジェルゼリー倒すのが飽きたからって攻撃仕掛けたんじゃねえよな?」

 疑いの目で私をみた。

「あーえっと……どうかなぁ~。アハハハハハ……」

「その様子だと図星か……ハァ、まあいい。これから気をつけろ。まだお前には、あれを倒すのは無理だ」

「はぁーい。気をつけます」

 もっと怒られるかと思ったけど。グレイは、かなり心配してくれているみたいだ。それらが表情に出ている。

 私はそんなグレイをみて本当に気をつけようと思った。

「それはそうと……。そろそろタルキニアの町に向かわないと暗くなる」

「そうなんだね。じゃあ行こう!」

「おい、ホントお前……元気だな」

 グレイが何か言いたそうだったけど、なんだろうと思う。

「元気だな。の前に何か言おうとしたよね?」

「あ、いや。別に何も言おうとしていない。勘違いじゃないのか」

 明らかに動揺している。それに私から目を逸らしてるし。更に気になるのがなんで顔を赤くしてるのかだ。

「グレイ、顔が赤いよ。……まさか!? 熱あるんじゃ!」

 そう思いグレイの額を触ってみる。すると更にグレイの顔が赤くなった。

「あー……大丈夫だ。これは……そうそう、さっきトゲトゲ虫の毒を少しくらったからだ。それに薬も飲んだしな」

「それならいいけど」

 グレイは何かを悟られないようにしている。それなら追及しない方がいいよね。

「じゃ、行くか」

「うん」

 そしてその後、私とグレイは他愛のない話をしながらタルキニアの町に向かったのだった。