ここはバールドア城の執務室。

 私は現在、ここで色々と聞かれている。ううん、私だけじゃなく……。グレイやムドルさんにメーメルとベルべスクも、ここに呼び出され来ていた。

 因みにグレイとムドルさんは、能力を封印している。流石に、能力を解放したままじゃない方がいいと思ったからだ。

 他に執務室に居るのは、カイルディさんだけだ。

 「陛下とクベイル様は多忙のため、私が話をお伺いいたします」

 そう言いカイルディさんは、私たちを順にみる。

 「カイルディ様、申し訳ありません」

 「なぜ謝るのですか、グレイ?」

 「それは……」

 グレイは俯いてしまった。多分、なんて言っていいのか分からないからだと思う。

 「もしかして、素性を隠していたことですか?」

 「はい、それだけではありませんが……」

 「責めるつもりはありません。何か理由があってのことでしょう。ですが、話してもらいますよ」

 そう言われグレイは頷いた。

 その後グレイは、自分の素性と今回の件とかを事細やかに話す。

 ムドルさんとメーメル、ベルべスクも訳を説明する。勿論、私も何があったのかを話した。

 「……そういう事ですか。グレイと魔族であるムドルが血縁関係、それも勇者と聖女の……。しかし、勇者について聞いたことがありません。これは……いったい?」

 「簡単なのじゃ。先程も話した通り、勇者は恨んでいた。その反面この世界の者も、勇者の存在を忘れたかったという事じゃな」

 「メーメル様、なるほど……確かにそうかもしれません。利用するだけ利用して、いざ自分たちの脅威となる存在だと分かれば……」

 それを聞き私は、話すなら今かと思う。

 「これ良く分からないんだけど。目を覚ましてみたら、プレートに勇者のことについて書いてあった。何かの役に立つかな」

 そう言いカイルディさんにプレートをみせる。

 カイルディさんは、私からプレートを受け取ると記載されている項目を読み始めた。その後、険しい表情になる。

 「これは……ハァ~、勇者は相当……追い詰められていたらしいですね。グレイ、村には何も残っていなかったのですか?」

 そう言うとカイルディさんは、プレートをグレイにみせた。

 「いいえ、残ってなかったと思います。でも、もしかしたら……俺が知らないだけかもしれません」

 「そうなると……グレイが居た村を調べる必要がありますね。ですがこの件は……陛下と相談の上、他の者を向かわせましょう」

 カイルディさんは一呼吸おくと、再び話し始める。

 「これも、陛下に許可を頂かなければなりません。もし許可が下りたならば、グレイとルイ様にはアクロマスグに向かって頂きたいのですが」

 「ティハイド様のことを調べろと?」

 「グレイ、そういう事です」

 それを聞いた私とグレイは頷いた。

 「妾も、一緒に行きたいのじゃ」

 「私も可能であるなら……それに、この件に魔族も関与していますし」

 「オレは、ムドルが行くなら……城にはもどれねぇしな」

 そうメーメルとムドルさんとベルべスクが言うと、カイルディさんは考え始める。

 「…………そうですね。その方がいいのかも……。ですが……魔族の姿のままでは、行動できません。どうするのですか?」

 「それなら大丈夫です。私を含め三人ともに、人間に化けられますので……」

 「なるほどですね。それなら、大丈夫でしょう。あとは、陛下の許可を頂くだけです」

 そう言いカイルディさんは、私たちを順にみた。

 私たちは、それを聞き頷く。

 そしてその後も私たちは、カイルディさんと話をしていた。