ここはバールドア城の広場。約三メートルだった紫の怪物は、巨大化し約三十メートルにもなった。

 そんな紫の怪物を見上げながら、グレイフェズは大剣を構える。

 (でかい……。だが……なんとかしないとな)

 そう思い額からポタリと汗が流れ落ちた。

 (この怪物を……どう倒すか、ですね。方法さえ分かればいいのですが……)

 ムドルは紫の怪物を見据え思考を巡らせる。

 (無理かもしれぬ。しかし、やるしかないのじゃ)

 そう考えながらメーメルは紫の怪物をみた。

 (こんなことなら、逃げりゃ良かったのか……。いや、その選択肢はねぇよな。仕方ねぇ、腹を括るかぁ)

 そう覚悟を決めるとベルべスクは、杖を構え直し紫の怪物を睨んだ。

 すると紫の怪物が動き出した。


 ――グオオォォォオオオオーー……!!――


 そう雄叫びを周囲に轟かせる。

 「クッ、動き出したな」

 「グレイ、そうですね」

 「うむ、そうじゃな」

 そう言いメーメルは、紫の怪物から離れ距離をおいた。

 「オレも距離をとるか」

 ベルべスクも、紫の怪物から離れる。

 それを確認したかのようにグレイフェズは、大剣を構え直した。と同時に、紫の怪物へと猛突進する。

 そのあとを追うようにムドルは、紫の怪物の方へ向かい駆け出した。



 ――場所は変わり、広場が見渡せる城の二階――


 この状況をカイルディとクレファスとレグノスは、難しい表情で見守っている。

 「これは、大変なことになりました。見る限り……状況は、最悪のようです」

 「カイルディ様、このままでは……何れ城の方にも」

 そうクレファスが言うとカイルディは、コクリと頷いた。

 「そうなるでしょう。ですが……ルイ様以外、グレイ達は諦めていないようです」

 「ええ、そのようです。それよりも、ルイ様の様子が気になるのですが」

 「レグノス、俺も気になった。泣いているようにみえる。あのままでは……」

 そう思いながらクレファスは、目を凝らし泪をみる。

 「そうですね。ですが、ルイ様に手を貸す訳には……。いえ、もしかしたら……。この状況をどうにかできるのは、ルイ様なのかもしれません」

 「カイルディ様、それはどういう事なのですか?」

 レグノスは不思議に思いそう問いかけた。

 「根拠はありません。ですが、ルイ様は異世界の者。なぜか巻き込まれて、キヨミ様とこの世界に召喚された」

 そう言いながらカイルディは、泪の方に視線を向ける。

 「それとこれと、どう関係があるのですか?」

 「クレファス、関係があるかは分かりません。召喚をしたのは私ですが。もし神がルイ様を、この世界に招いたとしたら?」

 そうカイルディに問われ二人は思考を巡らせた。

 「……そうだとしたらルイ様には、この場を解決するための能力があるかもしれない」

 そうレグノスが言うとカイルディは軽く頷く。

 「ですが……今のルイ様の状態では、それに気づけるか」

 クレファスはそう言いカイルディに視線を向ける。

 「そうですね。ですが……この状況を、神が黙ってみているとも思えません」

 「……という事は、あとは神頼みという訳ですか」

 そう言いレグノスは、目を凝らし空を見上げた。

 その後もカイルディとクレファスとレグノスは、話しながら広場の監視をする。



 そして広場の状況は、更に酷い状態になっていくのだった。