グレイ達は戦っている。その光景を私は、ただみているだけしか……つらい。


 そう思い泣きながら私は、グレイ達が戦っている姿をみていた。

 「……どうしたらいいの?」

 私は悩む、更に涙が出てくる。


 別に悲劇のヒロインを演じたい訳じゃない。できることなら私も戦いたいと思っている。だけどそれができない……体も動かない。


 考えれば考えるほど私は、更に分からなくなってしまった。



 ――場所はグレイフェズ達、四人が居る方に移る――


 あれからグレイフェズとムドルは、紫の怪物に挑む。しかし、何度も攻撃していくが無理だった。

 そうこうしているうちに紫の怪物は、全てのデビルミストを吸収し姿が完全体になってしまう。

 「クソッ、結局……無理だったのか」

 そう言いグレイフェズは、完全体となり約三十メートルもある紫の怪物を見上げる。

 「……悔しい。ですが、まだ諦める選択肢はありません」

 そう言い放ちムドルは、紫の怪物を睨みつけた。

 「ああ、当然だ。さて、やるか。恐らく無攻撃ってことは、もうないだろうからな」

 「そうですね。今度こそ……覚悟を決めませんと」

 ムドルはそう言い泪の方をみる。そして、悲しい表情になった。

 「つらい……なんて言ってられねえしな」

 そう言いグレイフェズは、チラッと泪の方をみる。だが、すぐにムドルの方を向いた。その表情は、かなりつらそうだ。

 そこにメーメルとベルべスクが、グレイフェズとムドルの方に向かってきた。

 「やっぱり、駄目か……」

 「ベルべスク、ええ……。ですが、まだ諦めませんよ」

 「そうじゃな。このままにはしておけぬのじゃ」

 そうメーメルが言うと三人は頷く。

 「それはそうと、そっちは大丈夫なのか?」

 「うむ、なぜか突然消えたのじゃ」

 「消えた? どういう事だ」

 グレイフェズは不思議に思い首を傾げる。

 「丁度あの怪物が今の姿になったあたりから、他の厄災は全て消えた」

 そう言いながらベルべスクは、紫の怪物をみた。

 「なるほどですね。そうなると、他の異界の怪物や魔獣は……」

 「ムドル、恐らくそうだろうな。完全体になるのを、邪魔されないための存在」

 「じゃあデビルミストは、元々紫の怪物の姿を強化するための……ってことか?」

 そう問うとグレイフェズとムドルは頷く。

 「そういう事だ。まぁ、それだけじゃないだろうがな」

 「ええ、そうですね」

 グレイフェズとムドルは険しい表情でお互い見合う。その後、すぐ視線を逸らした。

 「多分、これが最後になる。とにかくやれるだけのことをしねえとな」

 そうグレイフェズが言うと三人は頷く。

 そしてその後四人は、紫の怪物に挑む。それを泪は、泣きながら眺めていたのだった。