私は現在、メーメルに怒られている。当然だ……ただここで何もせず、私は泣きながらみている。怒られても仕方がない。

 「泣きたい気持ちは分かるのじゃ。しかし何もできないでは済まされぬ」

 「そうだけど……どうすればいいの? 私の力じゃ、倒せない。できるのであれば私だって……」

 「うむ……そうじゃなぁ。ルイ、気持ちの整理がついたらで良い。あとからくるのじゃ……良いな!?」

 それを聞き私は頷いた。

 それをみたメーメルは、私に背を向けグレイ達の方に向かい駆け出す。

 そんなメーメルをみて私は、凄いと思った。魔族とはいえ、同じ女なのに全然違う。それに私なんかよりも遥かに強い。私もみんなと戦えるぐらいの力があれば、と思った。

 分かってる。ただ、私にはそこまでの勇気がないだけだ。

 それが……私にはできない。グレイ達は、それができている。

 頭で考えているだけでは何も解決できない。そう思っても行動に移すことが……一歩、踏み出すことができないのだ。

 私はグレイ達の方をみながら、ひたすら自問自答していた。



 ――場所は、グレイフェズ達が居る方へと移る――


 相変わらず紫の怪物は、デビルミストを体内に吸収し姿を変え続けていた。

 そんな中グレイフェズとムドルとベルべスクは、その光景を悔しい気持ちでみている。

 そこに猛ダッシュでメーメルが、グレイフェズ達の方に向かってきた。

 「何、ボケっとみておるのじゃあぁぁあああ――」

 それを聞き三人は一瞬、ビクッとして後ろに仰け反る。

 「メーメル……べ、別にボケっとしていた訳じゃない!!」

 「グレイ、本当かのう? ……まぁ良い。それよりも、回復が先じゃな」

 そう言いメーメルは魔族語で魔法を唱え、グレイフェズとベルべスクの回復を順にした。その後メーメルは、バッグの中から魔力回復ドリンクを取り出しベルべスクに渡す。

 「メーメル様、申し訳ありません。有難く頂きます」

 ベルべスクはそう言うと、メーメルに頭を下げる。そして、魔力回復ドリンクを飲んだ。

 「すまない、メーメル……助かった。それはそうとルイの状態は、どうなんだ?」

 「うむ……相当、落ち込んでおったのじゃ。自分にできることが何か、みえておらぬ。それを、自分で気づき……みつけるしかないのじゃ」

 「そうか……俺が傍に居てやれれば……。いや、そうだな。メーメルの言うように、自分で気づかないと意味がない」

 そう言うとメーメルは頷いた。

 「そうですね。私も同感です。それに……これ以上、ルイさんを危険な目に遭わせたくありません」

 ムドルはそう言い、キッと紫の怪物を睨む。

 「ああ、そうだな。俺も同じ気持ちだ」

 そう言うとグレイフェズも、紫の怪物を睨みつけた。

 「悪いがオレは、雑魚の方を片づける」

 「ベルべスク、それでいい。ただ、そっちが済んだら……こっちも頼む」

 グレイフェズにそう言われベルべスクは、口角を上げ頷く。

 「妾もベルべスクと一緒に、雑魚の怪物と魔獣を倒すのじゃ」

 「メーメル様、無理だけはなされませぬように……」

 「大丈夫じゃ。それよりも、ムドルもグレイも無理はするでない……良いな!!」

 それを聞きグレイフェズとムドルは頷き立ち上がった。その後、二人は紫の怪物の方を向く。

 そしてグレイフェズ達は、各自の持ち場に向かったのだった。