ここはバールドア城の広場。あれからグレイフェズとベルべスクは、ひたすらデビルミストと異界の怪物や魔獣と戦っていた。

 だけど二人だけの力では、無理がある。それだけではない……ベルべスクは、さっき異界の怪物から攻撃を受けた背中の痛みを堪えながらなので余計だ。

 片やグレイフェズも、体力の限界に近い状態である。

 「クソッ、まだくるのかよ!?」

 そう思いながら目の前のデビルミストの群れを見据えた。それと同時に大剣を構え直しグレイフェズは、技名を叫びデビルミストの群れに向かおうとする。

 だが、疲れすぎていたせいか足がもつれ転ぶ。

 「って、まずい!!」

 グレイフェズは急ぎ起き上がる。しかしデビルミストの群れは、グレイフェズの目の前を通過し紫色の怪物の方へと向かっていく。

 「クッ、行かせるかよぉぉおおお――」

 それをみたグレイフェズはそう叫び、大剣を持ち直すとデビルミストの群れに向かい駆け出した。


 一方ベルべスクは、魔法を使いデビルミストの群れと異界の怪物や魔獣を倒している。

 「魔力だけじゃねぇ……痛みを庇いながらのせいか、余計な体力を使ってる。だが、なんとかしねぇとな」

 そう言いながら異界の魔獣に目掛け魔法で攻撃し倒した。とその直後、別の方向からデビルミストの群れが現れる。

 「グレイフェズの方とは別に、二方向からだと……対処しきれねぇ」

 そう言うもベルべスクは、前方にみえるデビルミストの群れに目掛け召喚魔法を使い攻撃し消滅させた。

 だがしかし、別方向からくるデビルミストの群れにまで手が回らない。

 「コリャまずいな。だが、なんとかしねぇと……」

 そう言い魔法を唱えようとする。


 ――だが二人共に、間に合わなかった。


 デビルミストの群れは、異界の怪物に憑依していく……。

 それをみたグレイフェズは、大剣を地面に突き刺す。そして大剣を握ったまま、ガクッと肩を落とし地面に膝をついた。

 「ま、間に合わなかった……最悪だ……」

 そう言いながら大剣の柄部分を、ジーっとみつめる。

 デビルミストの群れが紫の怪物に憑依してく姿をみて、ベルべスクは頭を抱えながら身を震わせていた。

 「やっぱり、無理なのか……。クッ……」

 悔しさと怯えとが混ざりベルべスクは、どうしていいか分からなくなる。



 ――そんな最中。城内からみていた者たちは、何も分からないながらも状況が最悪だと思った。そのため外に待機している者を、全て城の中へと避難させる――



 ――場所は移り、東側にある小屋の屋根――


 あれからメーメルの魔法でムドルは、小屋の屋根の上へと転移して来ていた。

 そして広場の状況をみていたが……。

 「やはり……無理だったのか。私の体力が、もっと保てば……」

 そう言い悔しい表情をする。

 「ムドルがあの場所に居たとて、同じ結果だったはずじゃ」

 「そうだとしても……悔しい。また、悲劇は繰り返されるのか。それに、この姿になっても防げなかった」

 それを聞きメーメルは、つらくなり涙ぐむ。

 「そうじゃな。ムドルに何も言ってあげられぬ。妾も同じなのじゃ……何もできない自分が、はがゆい」

 そう言いメーメルは、ムドルをみつめた。

 そして二人は、再び広場へと視線を向ける。

 「メーメル様、みているだけはつら過ぎます。やれるだけのことをしたいのですが」

 「うむ、そうじゃな。妾も、同じじゃ」

 そう言いお互い見合い頷いた。

 「うむ、でも……今のままでは無理なのじゃ。もう少し回復するかのう」

 メーメルはそう言うと、魔族語で魔法を唱えムドルを回復させる。

 「メーメル様、ありがとうございます。これならば、少しは戦えるかと」

 「そうじゃな。妾は、グレイとベルべスクの回復をしてくるのじゃ」

 「分かりました。では……」

 そう言いムドルは屋根から飛び降り広場の中央へと向かった。

 それを確認するとメーメルは、気になり泪の方をみる。

 「相当、落ち込んでいるようじゃな。まずは、ルイの方に向かうかのう」

 そう言うとメーメルは、魔法を使い泪の方へ転移していった。



 ――場所は変わり、泪が居る方の広場――


 どうしよう……結局、駄目だった。このままじゃみんな……グスン、私は何をすればいいの?


 そう思うと、余計に涙が溢れ出た。

 そうこうしている間にも、デビルミストの群れが紫の怪物に憑依していき姿を変えていく。

 それを私は、ただみていることしかできなかった。