ここはバールドア城の広場。グレイフェズとムドルは、異界の怪物とデビルミストの方へと駆け出していた。

 「ムドルは、怪物の方を頼む。俺はデビルミストを駆除する」

 「ええ、その方がいいですね」

 そう言いお互い見合い頷く。

 「ムドル、これは俺とお前とで解決しなきゃならない。この厄災は、かつて勇者……先祖が創り出したものなんだからな」

 「そうですね。ですが……こんなとんでもない物を、この世界に創造し封印していたとは……」

 「そうだな。そういえば、この厄災について何も聞かされてなかったのか?」

 そう聞かれムドルは難しい顔になる。

 「父は何も言ってませんでした。ただ、自分はやらなきゃいけないことがある。そう言っていたのは覚えています」

 「そういえば、メーメルから旅をしていたって聞いた。お前の父親って何をしていたんだ?」

 「母と会うまでは、勇者の真似事をしていました。いえ、それだけじゃないかもしれません。村に居られない……そう、ボソッと言っていたような記憶があります」

 グレイフェズは険しい表情になった。

 「……なるほどな。お前の父親が何代目なのか分からないが。恐らく能力のせいかもしれない」

 「そうかもしれません。父はそこまで話さなかったので、実際どうなのか分かりませんが」

 「そうか。そういえば……ムドルの父親も、お前と同じ能力だったのか」

 そう問われムドルは首を横に振る。

 「いいえ、勇者の能力でした。それに私が覚醒した時には……既に父は居ませんでしたので。まぁ母は居ましたが」

 「なるほど……つらいな」

 「そうでもないですよ。と言っても……一時期、かなり荒れたこともありましたけどね」

 そう言うとムドルは、寂しげな表情になった。

 「そうはみえないが……」

 「長く生きてると……色々ありますからね。ベルべスクは、昔の私を知っています。一緒に暴れていましたので」

 「それでベルべスクは、お前のこと恐れている訳か」

 そう言われムドルは、コクリと頷く。

 「そうなります……ベルべスクとは長い付き合いでしたから。……もうそろそろ、無駄話はこのぐらいにしておいた方が良さそうですね」

 そうこう話しているうちに二人は、異界の怪物とデビルミストのそばまでくる。

 「ああ、そうだな。さて、やるか。どうなるか分からないけどな」

 そう言いグレイフェズは、大剣を握り直しデビルミストを見据えた。

 「ええ、そうですね。全力でいきますよ」

 そう言い放ち身構えるとムドルは、鋭い眼光で異界の怪物をみる。

 その後二人は、デビルミストと異界の怪物に攻撃を仕掛けていった。

 そんな二人のことを泪たちは、心配しながら自分たちの作業を熟していく。

 そして城の者たちも、大丈夫かと心配しながら見守っていたのだった。