ここはバールドア城。そして、その建物の出入口付近の外側だ。

 あれからクレファスはここに来ていた。だが、なぜか……何かに見惚れているようである。そうその視線の先には、泪の姿があった。

(妖精か……いや、まるで戦乙女だ。いったい彼女は何者なのか……)

 そう思っている。すると建物の扉が開き、レグノスが急ぎ足でクレファスのそばまでくる。

「クレファス……おい!? 聞いているのか」

 そう言われクレファスは驚き我に返ると声のした方を向いた。

「ハッ、レグノス。なんでお前がここにいる?」

「カイルディ様からの指示を伝えにきた。その前に、なんで顔が赤いんだ? そもそも何に見惚れて……」

 そう言うとレグノスは、クレファスがみていた方へ視線を向ける。

「もしかして、戦っているあの女性のことをみていたのか?」

「ああ、そういう事だ。レグノス、まるで戦乙女が……ここに舞い降りたみたいだと思わないか?」

「そういえば……確かに、そうみえますね。ですが……私からみると舞姫にみえる」

 なぜかレグノスまでもが泪に見惚れてしまった。

「それで、カイルディ様の指示とはなんだ?」

「ああそうだった。このままでは、彼らの邪魔になるから撤退しろとのこと」

「そういう事か。彼らについて何か分かったのか?」

 そう聞かれレグノスは、カイルディが話していたことを伝える。

「……彼女は、もしかしたら聖女さまと一緒に召喚されたルイ様かもしれない。それにあの獣人のような男が、初代聖女の血縁者かもしれないのか」

「それと……どう思う。彼女の近くで戦っている男?」

 そう言われクレファスはグレイフェズの方に視線をずらした。

「どうって……!? まさか、グレイ!」

「やっぱり、そう思うか。二階でみていた時は、それほど思わなかったが……ここに来て確信に変わった」

「髪の色は違うが、あの戦い方は……間違いなくグレイだ。でも、どういう事だ? それに、かなり強くなっている」

 クレファスは不思議に思い首を傾げる。

「そうだな。何がグレイに起きたのか……いや、元々の姿と能力かもしれない」

「レグノス、そうかもな。だが、なぜ今まで隠していた? なんのために……」

「それは直接、本人に聞かないと分からぬな」

 それを聞きクレファスは頷いた。

「確かにな。さてと、そういう事なら撤退するか。アレがグレイなら、何か策があって戦っているかもしれん」

 そう言いクレファスは近くに居た者を呼んだ。その者に城の中に避難しろと指示を出す。それと広場で戦っている者たちにも、このことを伝えろと言う。

 するとその者は、指示の通り広場で戦っている者たちに伝える。

 そしてその後クレファスとレグノスは、五番隊の者たちと共に城の中へ避難した。