ムドルは迫りくる一体の異界の魔獣を見据える。
「今度も、みたことがないような魔獣ですね。考えてる暇はありません。さて、やりますか」
そう言いムドルは、迫りくる鋭い牙と爪を持つ黒豹に似た魔獣を見据えた。
黒豹のような魔獣は、頭に生えている二つの炎をなびかせながらムドルに飛びかかる。
それに気づきムドルは、バック転で避けた。そして、その勢いのままベルべスクの方へバック転していく。
そのことに気づいたベルべスクは、ムドルを追ってくる黒豹のような魔獣に怯える。
「ムドル! なんでこっちにくる!? 俺を殺す気か!!」
「詳しく話している余裕はありません。私は一度、能力を解除します。その後、トラ猫を保護してください」
そう言いながらムドルは、ベルべスクの前に背を向けた状態で立った。
「ああ、何をするのか……なんとなくみえた。だが、大丈夫なのか? アレは、異界の魔獣だ。それも並みの魔獣じゃねぇ」
「分かりませんが。やってみるしか、ないです。この状況では、これしか思いつきませんので」
ムドルは迫りくる黒豹のような魔獣を警戒しながらみる。
「分かった。だが無理すんなよ」
「心配してくれるとは、珍しいですね」
「当たり前だ。お前に死なれたら、俺は誰に守ってもらえる?」
それを聞きムドルは、ニヤリと笑みを浮かべた。
「クスッ、そうでした。では、急ぎますよ」
そう言われベルべスクは頷く。
それを確認するとムドルは、ベルべスクの右横に移動する。と同時に、ベルべスクの斜め前に両手を翳した。
《キャンセル!!》
「我が体内に吸収されしもの 分離、解除し排出されたし!!」
そう魔族語で言い放つと、ムドルの両手が発光する。するとベルべスクの眼前に、魔法陣が展開された。それと同時に、ムドルの全身を光が覆う。
その後、魔法陣は激しく光る。そして、魔法陣からトラ猫が姿を現した。
それを視認するとベルべスクは、即座にトラ猫に目掛け両手を翳す。それから魔族語で詠唱をし結界の魔法をトラ猫に放つ。
トラ猫は結界の中で、キョトンッとしている。その後、疲れたのか欠伸をして眠った。
それをみてムドルは、ホッと安心する。その後、迫りくる黒豹のような魔獣へと視線を向けた。
危険だと思いベルべスクは、少し離れたところで厄災の駆除作業を始める。
ムドルは黒豹のような魔獣に目掛け両手を翳した。
《アブソーブ!!》
「目の前の対象物を、我が体内に吸収されたし!!」
そう魔族語で唱え言い放つと、翳した両手が発光する。両手の前に魔法陣が現れると同時に、黒豹のような魔獣が魔法陣に吸い込まれた。
そしてムドルは黒豹のような魔獣を体内に吸収する。その後、全身が発光し姿が変わっていった。
姿は黒豹の獣人のようである。だけど、威圧感が半端ではない。
「グアァァアアア――」
ムドルは黒豹のような魔獣を体内に吸収できた。だが余りに禍々しい力と膨大な能力により、制御しようとするも中々できず頭を抱え蹲る。
それを自分のものにしようとムドルは必死だ。
「クソッオォォオオオ――――」
そう叫び自我を保つために気合いを入れる。
それをみていたベルべスクは心配になった。
泪たちは何が起きたのか良く分からない。だけど、ムドルの様子がおかしかったため心配している。
そんな心配の中、ムドルから放たれていた禍々しい気は……徐々に薄れていった。そしてなんとかムドルは、黒豹のような魔獣を体内に吸収することに成功する。
それをみてベルべスクや泪たちは、ホッと安心した。
ムドルは、ブルッと頭を振るう。その後、立ち上がり周囲を見渡す。
「……なんとかできました。ですが、これは……」
そう言うと頭を抱えた。
(もしこれが事実なら……この厄災は……)
ムドルは体内に吸収した黒豹のような魔獣から、何かを感じとる。
そして、辺りに居る厄災を見据えていたのだった。
「今度も、みたことがないような魔獣ですね。考えてる暇はありません。さて、やりますか」
そう言いムドルは、迫りくる鋭い牙と爪を持つ黒豹に似た魔獣を見据えた。
黒豹のような魔獣は、頭に生えている二つの炎をなびかせながらムドルに飛びかかる。
それに気づきムドルは、バック転で避けた。そして、その勢いのままベルべスクの方へバック転していく。
そのことに気づいたベルべスクは、ムドルを追ってくる黒豹のような魔獣に怯える。
「ムドル! なんでこっちにくる!? 俺を殺す気か!!」
「詳しく話している余裕はありません。私は一度、能力を解除します。その後、トラ猫を保護してください」
そう言いながらムドルは、ベルべスクの前に背を向けた状態で立った。
「ああ、何をするのか……なんとなくみえた。だが、大丈夫なのか? アレは、異界の魔獣だ。それも並みの魔獣じゃねぇ」
「分かりませんが。やってみるしか、ないです。この状況では、これしか思いつきませんので」
ムドルは迫りくる黒豹のような魔獣を警戒しながらみる。
「分かった。だが無理すんなよ」
「心配してくれるとは、珍しいですね」
「当たり前だ。お前に死なれたら、俺は誰に守ってもらえる?」
それを聞きムドルは、ニヤリと笑みを浮かべた。
「クスッ、そうでした。では、急ぎますよ」
そう言われベルべスクは頷く。
それを確認するとムドルは、ベルべスクの右横に移動する。と同時に、ベルべスクの斜め前に両手を翳した。
《キャンセル!!》
「我が体内に吸収されしもの 分離、解除し排出されたし!!」
そう魔族語で言い放つと、ムドルの両手が発光する。するとベルべスクの眼前に、魔法陣が展開された。それと同時に、ムドルの全身を光が覆う。
その後、魔法陣は激しく光る。そして、魔法陣からトラ猫が姿を現した。
それを視認するとベルべスクは、即座にトラ猫に目掛け両手を翳す。それから魔族語で詠唱をし結界の魔法をトラ猫に放つ。
トラ猫は結界の中で、キョトンッとしている。その後、疲れたのか欠伸をして眠った。
それをみてムドルは、ホッと安心する。その後、迫りくる黒豹のような魔獣へと視線を向けた。
危険だと思いベルべスクは、少し離れたところで厄災の駆除作業を始める。
ムドルは黒豹のような魔獣に目掛け両手を翳した。
《アブソーブ!!》
「目の前の対象物を、我が体内に吸収されたし!!」
そう魔族語で唱え言い放つと、翳した両手が発光する。両手の前に魔法陣が現れると同時に、黒豹のような魔獣が魔法陣に吸い込まれた。
そしてムドルは黒豹のような魔獣を体内に吸収する。その後、全身が発光し姿が変わっていった。
姿は黒豹の獣人のようである。だけど、威圧感が半端ではない。
「グアァァアアア――」
ムドルは黒豹のような魔獣を体内に吸収できた。だが余りに禍々しい力と膨大な能力により、制御しようとするも中々できず頭を抱え蹲る。
それを自分のものにしようとムドルは必死だ。
「クソッオォォオオオ――――」
そう叫び自我を保つために気合いを入れる。
それをみていたベルべスクは心配になった。
泪たちは何が起きたのか良く分からない。だけど、ムドルの様子がおかしかったため心配している。
そんな心配の中、ムドルから放たれていた禍々しい気は……徐々に薄れていった。そしてなんとかムドルは、黒豹のような魔獣を体内に吸収することに成功する。
それをみてベルべスクや泪たちは、ホッと安心した。
ムドルは、ブルッと頭を振るう。その後、立ち上がり周囲を見渡す。
「……なんとかできました。ですが、これは……」
そう言うと頭を抱えた。
(もしこれが事実なら……この厄災は……)
ムドルは体内に吸収した黒豹のような魔獣から、何かを感じとる。
そして、辺りに居る厄災を見据えていたのだった。