ベルべスクは地面の方に両手を翳した。
《異な物 異の地と現の地 未知なる物 トラなる生物 我、立つ地 我が声に応じ現れ出でよ!!》
そう魔族語で詠唱すると地面が光る。それと同時に、魔法陣が現れた。
その魔法陣から光が放たれる。するとその魔法陣から、虎……いや、トラ猫が召喚されて「ニャ―」と鳴き現れた。
「……これが、虎? 随分と、可愛らしい生物ですね。本当に、大丈夫でしょうか……」
心配に思いながらトラ猫を見据える。
――虎、ではなく……それってトラ猫なんですけど……。まぁそれは、さておき――
ムドルは不安に思いながら翳している両手をトラ猫に向け直した。
《アブソーブ!!》
「目の前の対象物を、我が体内に吸収されたし!!」
そう魔族語で唱え言い放つ。すると翳した両手が発光し魔法陣が現れる。それと同時に、トラ猫が魔法陣に吸い込まれた。
そしてムドルはトラ猫を体内に吸収する。その後、全身が発光し姿が変わって行く。
そうトラ猫を体内に吸収し猫の獣人のような姿になった。
だがその姿は、可愛いというかなんというか……迫力に欠けている。
ベルべスクはムドルから目を逸らし笑っていた。
「ベルべスク、何を笑っているのですか!」
「いや……クククッ……余りにも、似合わないと思ってな。あー駄目だあぁー……笑いが止まらねえ!!」
我慢できなくなり、ケラケラと笑いだす。
それをみたムドルは、ムッとし怒り出した。
「ベルべスク!! 私にも我慢の限界と言うものがあります」
そう言うとムドルはトラ猫の能力の一つである【爪の連撃】を、ベルべスクの顔に目掛け炸裂させる。
その攻撃を受けベルべスクの顔は、見事なほどに無数の爪痕が……痛々しい。……まあ、自業自得なのだが。
「わ、悪い……笑い過ぎた」
「分かればいいんですよ。では、行きますか」
そう言いムドルは広場の方を向き歩き出した。それをみたベルべスクはムドルのあとを追う。とその時……。
「ムドルさん、可愛い~。猫の獣人みたい!」
そう泪の声がしムドルは、恐る恐る後ろを振り向く。するとそこには、泪とグレイフェズとメーメルがいた。
グレイフェズは泪の後ろに隠れ笑っている。その後ろでは、メーメルが笑いを堪えていた。
「あーえっと、これは……。ハァ、とんだ姿をみられてしまいました」
そう言いムドルは落ち込む。
「すまん、お前の能力は知っていたが。まさかそんな可愛いものを、吸収するとは思わなかった」
「私もすき好んで、虎を吸収した訳じゃありません!」
「虎……トラ猫じゃなくて?」
そう泪に聞かれムドルは首を傾げる。
「トラ猫とは? それに虎とは、どういう生物なのですか……」
「ん-トラ猫と虎は、獰猛さが違う。あとはサイズかな……虎の方が大きいよ」
「では……ベルべスクは、トラ猫の方を召喚したことになりますね」
そう言うとムドルは、ベルべスクを鋭い眼光で睨んだ。
それをみてベルべスクは、余りの怖さに体を震わせる。
「し、仕方ないだろう。お、オレだって知らないものを召喚したんだからな」
「まぁ、そうですね。致し方ない……これで、ひとまず戦いますか」
それを聞きベルべスクは、ウンウンと何度も頷いた。
「そうだな。じゃあ、俺も能力を使うか」
そう言いグレイフェズは、広場を見据える。
「その様子では、能力が使えるようになったみたいですね」
「ああ、ルイのお陰でな」
そう言いグレイフェズは、泪の方に視線を向けた。
「それは、良かったです。これで、勇者と聖女の能力が揃いました」
「そうなるな。まるで、この日を待っていたかのように……」
そう言いグレイフェズとムドルは、お互い見合い頷く。
「では、行きましょう」
「ああ……」
その後二人は、広場の方を向き歩き出す。
それをみて泪とメーメルとベルべスクは、二人のあとを追ったのだった。
《異な物 異の地と現の地 未知なる物 トラなる生物 我、立つ地 我が声に応じ現れ出でよ!!》
そう魔族語で詠唱すると地面が光る。それと同時に、魔法陣が現れた。
その魔法陣から光が放たれる。するとその魔法陣から、虎……いや、トラ猫が召喚されて「ニャ―」と鳴き現れた。
「……これが、虎? 随分と、可愛らしい生物ですね。本当に、大丈夫でしょうか……」
心配に思いながらトラ猫を見据える。
――虎、ではなく……それってトラ猫なんですけど……。まぁそれは、さておき――
ムドルは不安に思いながら翳している両手をトラ猫に向け直した。
《アブソーブ!!》
「目の前の対象物を、我が体内に吸収されたし!!」
そう魔族語で唱え言い放つ。すると翳した両手が発光し魔法陣が現れる。それと同時に、トラ猫が魔法陣に吸い込まれた。
そしてムドルはトラ猫を体内に吸収する。その後、全身が発光し姿が変わって行く。
そうトラ猫を体内に吸収し猫の獣人のような姿になった。
だがその姿は、可愛いというかなんというか……迫力に欠けている。
ベルべスクはムドルから目を逸らし笑っていた。
「ベルべスク、何を笑っているのですか!」
「いや……クククッ……余りにも、似合わないと思ってな。あー駄目だあぁー……笑いが止まらねえ!!」
我慢できなくなり、ケラケラと笑いだす。
それをみたムドルは、ムッとし怒り出した。
「ベルべスク!! 私にも我慢の限界と言うものがあります」
そう言うとムドルはトラ猫の能力の一つである【爪の連撃】を、ベルべスクの顔に目掛け炸裂させる。
その攻撃を受けベルべスクの顔は、見事なほどに無数の爪痕が……痛々しい。……まあ、自業自得なのだが。
「わ、悪い……笑い過ぎた」
「分かればいいんですよ。では、行きますか」
そう言いムドルは広場の方を向き歩き出した。それをみたベルべスクはムドルのあとを追う。とその時……。
「ムドルさん、可愛い~。猫の獣人みたい!」
そう泪の声がしムドルは、恐る恐る後ろを振り向く。するとそこには、泪とグレイフェズとメーメルがいた。
グレイフェズは泪の後ろに隠れ笑っている。その後ろでは、メーメルが笑いを堪えていた。
「あーえっと、これは……。ハァ、とんだ姿をみられてしまいました」
そう言いムドルは落ち込む。
「すまん、お前の能力は知っていたが。まさかそんな可愛いものを、吸収するとは思わなかった」
「私もすき好んで、虎を吸収した訳じゃありません!」
「虎……トラ猫じゃなくて?」
そう泪に聞かれムドルは首を傾げる。
「トラ猫とは? それに虎とは、どういう生物なのですか……」
「ん-トラ猫と虎は、獰猛さが違う。あとはサイズかな……虎の方が大きいよ」
「では……ベルべスクは、トラ猫の方を召喚したことになりますね」
そう言うとムドルは、ベルべスクを鋭い眼光で睨んだ。
それをみてベルべスクは、余りの怖さに体を震わせる。
「し、仕方ないだろう。お、オレだって知らないものを召喚したんだからな」
「まぁ、そうですね。致し方ない……これで、ひとまず戦いますか」
それを聞きベルべスクは、ウンウンと何度も頷いた。
「そうだな。じゃあ、俺も能力を使うか」
そう言いグレイフェズは、広場を見据える。
「その様子では、能力が使えるようになったみたいですね」
「ああ、ルイのお陰でな」
そう言いグレイフェズは、泪の方に視線を向けた。
「それは、良かったです。これで、勇者と聖女の能力が揃いました」
「そうなるな。まるで、この日を待っていたかのように……」
そう言いグレイフェズとムドルは、お互い見合い頷く。
「では、行きましょう」
「ああ……」
その後二人は、広場の方を向き歩き出す。
それをみて泪とメーメルとベルべスクは、二人のあとを追ったのだった。