ここは広場の東にある小屋。グレイフェズは部屋の中央まできた。

(大丈夫だとは思う。だが、まだ不安が……失敗するんじゃないか、と。ルイが、調べてくれたのに……しくじる訳にはいかない。
 ……何を考えている……そんな暇はないだろう。問題ない、やるぞ!)

 そう言い聞かせると気持ちを入れ替える。

 その後、目を閉じた。そして今、必要な物を思い浮かべる。

(ヨシッ、浮かんできた。えーっと、花? だよな。これ……。まさか、これを叫ぶのか……)

 恥ずかしさの余りグレイフェズの顔が赤くなった。

(みたことがない花だ。でも、名前が書いてあるから、なんとかなる。でも、なぁ。ハァ、仕方ない……やるかぁ)

 そう決心し瞼を閉じたまま眼前に両手を翳した。

「桜草の花束を、この手に!!」

 そう叫ぶとグレイフェズの脳裏に桜草の花束が、ハッキリ浮かび上がる。

 それと同時に、翳す両手の前に魔法陣が現れた。その魔法陣から桜草の花束が現れる。すかさず、その桜草の花束を取った。

(できた。この花、ルイのようで可愛い。……って、こんな時に何を考えてる! あーそうだ。この花、ルイにやるか)

 そう思い泪の方に向かう。

 泪たちは、グレイフェズが成功し喜んでいた。



 ――視点は、泪の方へと切り替わる――


 私は、ホッとした。成功して良かったと思う。でも、なんで桜草なのかは分からないけど……。

 チラッとメーメルをみる。なぜか目を輝かせていた。

 グレイは、私たちの前までくる。

「ルイ、欲しければ……やる!」

 そう言い桜草の花束を私の目の前に差し出した。グレイの顔は赤い。

「あ、ありがとう。わーあ、可愛い。でも、なんで桜草なの?」

 そう言いながら私は、桜草の花束を受け取る。

 なぜかメーメルは、ウットリしながら私とグレイをみていた。

「なんで脳裏に、その花が浮かんだのかは分からない。だけど……ルイ、その花のことを知っているという事は……」

「うん、私が居た世界の花だよ。それに、この桜草……私の好きな花の一つなんだ。他にもあるけどね」

「そういう訳か。ここで必要な物が脳裏に浮かんだ、ってことだな」

 そう言いグレイは、クスッと笑う。

「いいのう。妾も欲しいのじゃ」

 メーメルは羨ましそうに、私の桜草をみている。

「……メーメル悪い……今は、無理だ」

「うむ、分かってるのじゃ。だから、あとでお願いしても良いかのう?」

「ああ、同じようにできるかは分からないがな」

 それを聞きメーメルは喜んでいた。

「さてと、今度は本番だ。今ので、だいぶ自信がついたしな」

 そう言いグレイは扉の方へと向かい歩き出す。

 そして私とメーメルは、グレイのあとを追ったのだった。