私はグレイとムドルさんが能力を解放する様子をみていた。


 二人共、つらそうだったけど……そのあと笑ってたから大丈夫だよね。


 そう思い自分の中で納得する。

 二人はこっちに向かってきた。威圧感が×2……。私もだけど……ベルべスクも、ビクビクしている。メーメルまでも軽く身震いをしていた。そのぐらい威圧が凄い。

「……ムドルだけでも、近くに居たくねえのに……二人もだと流石にキツい。ここから逃げ出してぇ……」

「そうじゃな。まさか、ここまでとは……感じる気までも似ておるのじゃ。まさか、それはないと思うが……。能力まで同じだったら、笑うしかないがのう」

「そ、そうだね。だけど、グレイとムドルさんて……もしかしてだけど」

 そう言いメーメルの方に視線を向ける。

「恐らく、なんらかの繋がりがある者かもしれぬのじゃ」

「ほう……あのグレイフェズってヤツも、ムドルと同じとはな。こりゃ、おもしれえ」

「そういえば、ベルべスクって……ムドルさんのこと知ってるんだよね」

 そう聞くとベルべスクは頷いた。

「知っている。だが……言わんぞ。まだ、死にたくないからな」

 そう言うとベルべスクは、ブルッと身を震わせる。

 余程ムドルさんのことが、怖いんだろうなぁって思った。

 そうこう話してると、グレイとムドルさんがそばまでくる。

「さて、やるか。その前に俺は、ルイにみてもらわないとな」

「そうだね。何で調べるのか書いてあるかもだから、プレートを確認してみる」

 私はプレートを持ち直すと確認し始めた。

「私はそのプレートに書かれた通りに、行動したいと思います」

「ハァ、オレは……またムドルと一緒か」

「嫌なら構いませんが。ただ今後、命の保証はないと思ってください」

 そう脅されベルべスクは、頭を搔きむしりムドルさんを凝視する。

「あー……やりゃあ、いいんだろう。昔のように、指示通り召喚すれば!」

「そういう事です。私の能力は……」

 ムドルさんは能力のことを言おうとして、急に黙り俯いてしまった。

「……そういう訳か。やっぱり、な。お前の能力って……。初代、聖女の能力じゃないのか?」

「ええ、グレイ……そうです。この能力のことを、知っているみたいですね」

「ああ……昔、にな。俺が居た村には、勇者と聖女のことが記載された書物があった。それを散々……嫌というほど、読んだ」

 そう言うとグレイは、つらそうな表情になる。

「そうですか……まぁこれで、私が何者か。全てではありませんが、知られてしまいました」

 ムドルさんは悲しい表情で俯いた。


 そうか……そうなるとグレイとムドルさんて、血の繋がりがあるってことだよね。それに、ムドルさんの方が年……。いやこれは、聞かない方がいいかな。


 そう思いそれについては考えないことにする。

「うむ、そうだったのじゃな。だが、そのことを詳しく聞くのはあとじゃ」

「はい、メーメル様。では、私は持ち場に向かおうと思います」

 そう言いムドルさんは軽く会釈をして外の広場へと向かった。ベルべスクもそのあとを追う。

「……そうだな。俺も急いで、能力を使えるようにしないと」

 それを聞き私は頷いた。

「急いで読み返すね」

「ああ、頼む!」

「妾は、ひとまず待つのじゃ。今は、やることがないからのう」

 そう言いながらメーメルは私とグレイの方をみる。

 そして私は、ひたすらプレートに書かれている内容を確認していたのだった。