ここはバールドア城にある広場の東側の小屋。メーメルが怒りながら私たちの方に向かってくる。

「メーメル、別に俺たちは遊んでいる訳じゃない!」

 そう言いグレイはメーメルの方を向いた。

「そうでないのであれば、なぜここに居るのじゃ?」

「メーメル様、ルイさんの能力を使うために……ここに避難したのです」

「なるほどのう。そういう事、か。それで能力は、もう使ったのじゃな」

 そう聞かれ私は首を横に振る。

「ううん、丁度これから使おうと思ってたところだよ」

「うむ、そうじゃったか」

「フゥー、じゃあ……ルイ頼む」

 そうグレイに言われ私は頷いた。

 私は目の前に右手を翳す。

 《ソーティング!!》《見極めレベル6!!》

「広場に居る厄災たちの情報を教えて!! そして、ここに居る五人に役割を振り分けて!!」

 そう言い放った。すると翳した右手が発光しビームのようなものが放たれる。

 そのビームのようなものは、枝分かれして広場の方に向かい部屋の壁に当たり消えた。

 その後、私はプレートをみる。

 思った通り、プレートに書き込まれた。

「プレートに書き込まれたよ!」

 そう言い私は、みんなにプレートをみせる。

「なるほど、な。……でもなんで、俺が……」

 難しい表情になりグレイは俯いた。

「これは……」

 ムドルさんは頭を抱え悩み始める。

(どうしたら……これでは、間違いなく隠しきれなくなります。これを見る限りグレイも、あの姿にならなければいけない。恐らくそのことで、悩んでいるのでしょう)

 悩んでいる二人をみて、私はどうしたのかと思った。

「どうしたの? 割り振りは、ちゃんとできてると思うんだけど」

「そうじゃな。妾もこれでいいと思うがのう」

「オレも、これでいいと思うぞ」

 それを聞きグレイとムドルさんは、つらそうな表情で私たちの方をみる。

「元の姿になれば、俺だってバレないですむ。だが、能力が真面に使えない。それなのに、どうしろって言うんだ!」

「プレートに書いてあった私の役割の一つだけど。能力を探るって記載されてたよ。多分だけど、これグレイのことじゃないのかな?」

「俺の能力を、か。だとしたら、このプレートに書かれていることも納得できる」

 そう言うとグレイの表情が明るくなった。

「グレイは、納得できたみたいですが。私の方です……書いてある意味が、理解しかねます」

 それを聞き私は、ムドルさんへの指示が、どう書き込まれているのか気になりプレートをみた。

「……本来の能力を開放して対処すること。……えっ!? どういう事、なの。ええっと……魔族の姿にじゃなくて、能力の解放……意味が分からない」

 私は不思議に思いムドルさんをみる。

「やはり……隠しきれません、か。話すしかなさそうですね」

 そう言いムドルさんは、重い口を開いた。