刻々と……その時が近づく――



 私はグレイと入って来たところから、一番近い厄災の魔法陣がある場所にいる。

「解除の方法は、ベルべスクに聞いている。あとは撤去するだけだ」

「そうだね。描いてある魔法陣の一部でも消せば、発動しない」

 そう言うとグレイは頷いた。

「ああ、そういう事だ。サッサとやるぞ」

 そう言われ私は頷きプレートを確認する。そして小屋を指差しグレイに教えた。

「あの小屋の東側で、木や草が生い茂ってる壁の辺りだよ」

 それを聞いたグレイは小屋の方に向かう。そのあとを私は追った。

 グレイは小屋の所までくると、私が指示した場所を見回す。

 その後、バッグから水のような液体が入った容器を取り出した。そして蓋を開けると、木や草が生えている辺りにその液体をかける。

 その液体がかかった地面の一部が光った。それは魔法陣だ。

 私は凄いと思った。

「それ普通の水じゃないんだね」

「これか……聖水液だ」

 そう言いながらグレイは魔法陣を足で無造作に消す。

 それを聞き私は思った。


 聖水液? それって聖水だよね。それに聖水なら魔法陣自体、消えるんじゃないのかな……。


 そう突っ込みを入れようかと思ったけど、面倒なのでやめる。

「聖水液かぁ。それって、どういう効能があるの?」

「ん? これか。魔法などが仕掛けてあれば、さっきみたいに浮かび上がる」

「そ、そうなんだね。普段、使うことってあるの?」

 そう聞くとグレイは首を横に振った。

「いいや、ない。今回のように、罠などを探す時に使うぐらいだ」

「そっかぁ。でも、便利ではあるよね」

「そうだな。それはそうと、急ぐぞ」

 そう言われ私は頷く。

 グレイは私をみて微笑んだ。

 その後、私とグレイは別の場所へ向かった。



 ――場面は変わり、バールドア城の西側にある倉庫付近――


 あれからムドルとベルべスクはここにくる。

「紙に書かれている場所は、この辺ですね」

「そうだな。この辺は、草だらけで分かりづらい」

「確かに……。そうですね、あのアイテムを使いますか」

 そう言うとムドルは、ポケットからルーペのようなものを取り出した。


 そのルーペのようなものは【魔眼鏡(まがんきょう)】と言う。

 そう隠された罠や、みえない魔法陣などを探しみることのできるアイテムである。


 ムドルは、魔眼鏡に魔力を注いだ。すると魔眼鏡のレンズが発光する。

 それを確認するとムドルは、魔眼鏡を地面に翳しながら探し始めた。

 すると少し先の方で光る。それをみて二人は、その場所に向かった。

 光った場所までくるとムドルは、更に魔眼鏡で魔法陣を探す。

 翳した魔眼鏡が強く光る。それを視認したムドルは、魔眼鏡に魔力を注ぐ。すると地面が光、魔法陣が浮かび上がってきた。

「ありましたね」

「ああ、そうだな。あとは、これを消すだけだ」

 そう言いながらベルべスクは、浮かび上がった魔法陣を足で無造作に消す。

「とりあえず、一つ目は消せました」

「だが、まだある。それを消さないとな」

 それを聞きムドルは頷く。

 そしてその後、二人は別の場所へと向かったのだった。



 ――そして時は待ってくれず、刻々と過ぎていく……。